1960〜1979年の演奏


オットー・クレンペラー/ニュー・フィルハーモニア管弦楽団(1970)
CD−R(tenebrae−0001)

1.ベートーヴェン/交響曲第2番ニ長調Op36
2.   〃   /交響曲第5番ハ短調Op67「運命」
  (7:19/11:22/6:13/10:08)
       (リピート無し:原典版)

  オットー・クレンペラー指揮
    ニュー・フィルハーモニア管弦楽団
    録音 1970年6月2日ライヴ(モノラル)

 クレンペラーが1970年にニュー・フィルハーモニアとベートーヴェン・チクルスを演奏したときのライヴ録音です。最後のライヴ録音ということです。2mの巨人だったクレンペラーが85歳まで指揮をしていたことに驚きます。
 交響曲第2番は遅めのテンポで進みます。弦楽と管楽器のバランスがよく、この曲の明るさを十分に引き出しています。フィナーレがやや遅めのテンポですが、むしろ本来もっている美しさが引き立っていて素晴らしい響きになっています。
 交響曲第5番「運命」はかなり遅いテンポの演奏です。第1楽章は1969年のバイエルン放送のライヴ同様提示部のリピートはありません。リズムをはっきりとさせており、ホルンのファンファーレは力強いです。展開部はメリハリのある感動的な演奏です。再現部でファゴットのファンファーレはファゴットで吹いています。396〜397小節でティンパニが叩いていないのはびっくりでした。トランペットのタタタタンだけが目立ちます。
 第2楽章は遅いテンポの演奏で主題をゆったりと演奏しています。木管楽器の美しい響きも聞き物です。木管四重奏は優雅な響きがきれいでした。第3楽章もゆったりとしたテンポです。ホルンの主題は明るく力強い響きです。フーガは遅いテンポで弦楽の素晴らしい響きがあります。低弦の強調や抑制が極端で面白いです。また経過部におけるヴィオラの装飾音がよく聞こえるのも注目でしょう。フィナーレは堂々とした響きでテンポは遅めですが厚い響きを出しています。ホルンの強奏も見事です。提示部のリピートはありません。展開部は管楽器の厚い響きが見事。第3楽章の回想が大変遅いテンポですので再現部のゆったりとしたテンポが違和感なく聞こえます。コーダのホルンの主題もきれいです。そしてピッコロの強調は目立ちます。プレストから終結までの圧倒的な響きには素晴らしいものがあります。


トップへ
戻る
前へ
次へ