田園交響曲

オットー・クレンペラー/ウィーン交響楽団(1950〜51)
CD(VOXBOX CDX2-5527)
CD1
1.ベートーヴェン/荘厳ミサ曲ニ長調Op123
CD2
2.ベートーヴェン/交響曲第5番ハ短調Op67「運命」
         (第1楽章、第4楽章リピート:原典版)
3.    〃   /交響曲第6番ヘ長調Op68「田園」

  イローラ・シュタイングルーバー(ソプラノ)(1)
  エリーゼ・シェルホフ(アルト)(1)
  エルンスト・マイクト(テノール)(1)
  オットー・ヴィーナー (バス)(1)
  オットー・クレンペラー指揮
     ウィーン交響楽団(1〜3)
     ウィーン・アカデミー合唱団(1)
  録音 1950〜51年(モノラル)
      1951年4〜5月(2)

 クレンペラーがVOXに録音したベートーヴェンです。「ミサ・ソレムニス」はステレオ録音の名盤がありますが、このモノラル盤の崇高さは格別です。第1曲「キリエ」から荘厳な響きが素晴しい。
 「運命」はLPの時代から知られていました。ベームやフルトヴェングラーに押されて目立たない演奏でした。CDで聴いても低音が弱く重厚さは伝わってきませんが、遅いテンポながらホルンの明るさ、テンポ運びのうまさなど、後の演奏を思わせる偉大な音楽が伝わってきます。展開部の流麗な演奏、オーボエのチャーミングな音がきれいです。再現部のファゴットのファンファーレもよく響いています。第2楽章の主題の歌い方はさすがに素晴らしいものです。木管楽器の美しさも聞きもの。第3楽章のホルンの主題も明るくきれいです。ウィンナ・ホルンで吹いています。フーガはゆったりとしたテンポで演奏しています。フィナーレはやや遅いテンポながら厚みのある響きを出しています。提示部のリピートがあります。コーダのホルンの主題のあとのピッコロの音がよく響きます。プレストから終結は圧倒的な演奏です。
 「田園」はクレンペラーの味のある演奏がフィルハーモニアの録音で聞かれますが、このウイーン交響楽団の演奏はウィーンのオーケストラの響きをきれいに引き出した演奏として注目したいものです。冒頭の主題のほっとする響きがたまりません。第3楽章で響くウィンナ・オーボエとウィンナ・ホルンの音に「田園」らしさを感じます。第5楽章でもウィンナ・ホルンのきれいな音が響き渡ります。


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