田園交響曲

ウィルヘルム・フルトヴェングラー/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(1947)
CD(GRAND SLAM GS-2245/46) 

1.ベートーヴェン/交響曲第6番ヘ長調Op68「田園」
2.   〃   /交響曲第5番ハ短調Op67「運命」
   8:02/10:30/5:47/7:55
3.メンデルスゾーン/「真夏の夜の夢」序曲Op21
4.ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲ニ長調Op61
    (カデンツァ:クライスラー)

  ユーディ・メニューイン(ヴァイオリン)(4)
  ウィルヘルム・フルトヴェングラー指揮
   ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
  録音 1947年5月25日(1&2)
      1947年9月30日(3&4)
     ティタニア・パラスト・ライヴ

 このアルバムの1枚目はフルトヴェングラーがナチスの協力者として戦犯扱いとなり活動が禁止されてから、初めて公開演奏した記念すべき演奏でした。2枚目はメニューインとの共演です。
 交響曲第6番「田園」は第1楽章の冒頭は静かに、ゆったりと始まり、そして次第に盛り上げていきます。提示部の全合奏では快適なテンポになります。展開部はフレーズの繰り返しがあります。ここは次第に盛り上げていきます。フルトヴェングラーの演奏には緊張感を感じます。再現部は弦楽と管楽器の響きがきれいです。コーダのクラリネットはよく響きます。最後はテンポを落して長く伸ばしています。第2楽章の「小川のほとりの情景」は小川の流れを感じさせる弦楽の動きがきれいに響きます。木管楽器がきれいです。途中でテンポアップもあって、ファゴットの第2主題が始まると小川の流れが速くなります。やがて穏やかな流れとなって、再現部のフルート、オーボエの歌は鳥の鳴き声のように聞こえます。コーダのフルート、オーボエ、クラリネットが歌う小鳥の鳴き声は素晴らしい演奏です。ゆったりと終わります。第3楽章のアレグロは弦楽に力の入る緊張感のある演奏です。オーボエ、クラリネット、ホルンと続くソロはきれいな演奏です。トリオの迫力ある演奏はまさに踊っているかのように聞こえます。第4楽章の「嵐」は嵐の前の静けさから一気に嵐の大雨になる様子、ティンパニの強打は雷鳴の凄まじい響きがあります。また大雨がきて、雲が流れていく様子も感じられます。これは凄いです。コーダの遠雷の表現は素晴らしいです。オーボエの響きもきれいです。第5楽章の「嵐のあとの感謝の気持ち」はクラリネットに続くホルンが泣きそうですが、「牧人の歌」は喜びにあふれています。テンポアップもあります。盛り上げの素晴らしさはフルトヴェングラーらしいです。主題の変奏はよい響きになっています。コーダはテンポを落してゆったりと素晴らしい演奏、ホルンのソロもきれいに響きます。見事です。
 交響曲第5番の第1楽章は戦前の演奏とは異なり重々しい出方になりました。動機の3回目でホルンが少し早く出てしまいましたが、それだけ緊張していたわけでその雰囲気がよく伝わってきます。ティンパニの音もずしっと響きます。展開部も見事でした。オーボエのカデンツァのあとは再現部で、ファゴットのファンファーレの部分はホルンで演奏しています。コーダまでもティンパニの強打があります。間の取り方が素晴らしいです。 第2楽章は弦楽の主題が見事、管楽器もいうことありません。第1変奏の弱奏からの盛りあがりは見事です。第2変奏の美しい響き、クライマックスはさすがに聴き応えがありました。また木管四重奏につづくホルンの強奏にはびっくりでした。木管の第3変奏はきれいな演奏です。コーダは重厚な響きでしかも最後は長く伸ばしています。第3楽章は冒頭の緊張感に満ちた弦の主題とホルンの強奏が素晴らしいです。トリオのフーガは若干の乱れはあるものの、凄い演奏でした。第4楽章への経過部のppの緊張感は素晴らしいものです。クレッシェンドと共に入る第4楽章は堂々とした重厚な演奏になります。提示部のホルンもよい響きです。展開部から再現部も緊張感のある演奏です。コーダのホルンの主題から終結までのスピードと緊張感は凄いです。フルトヴェングラーのライヴの凄さがあります。最後はテンポを落して重厚な終わり方です。
 メンデルスゾーンの「真夏の夜の夢」序曲はベルリン・フィルの緻密な演奏が素晴らしいです。フルトヴェングラーの盛り上げ方のうまさと緊張感もあります。
 ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲はメニューインのヴァイオリンです。第1楽章は序奏から重厚な響きを出しています。メニューインのヴァイオリンは艶のある響きで見事な演奏です。展開部から再現部の透明感のある響きも素晴らしいです。カデンツァはクライスラーのものを弾いています。見事な演奏です。第2楽章はラルゲット、ホルンに続いてヴァイオリンのソロが入ります。クラリネットとの対話もきれいな響きです。中間部の重厚な響きも良い演奏です。コーダのカデンツァも素晴らしい演奏です。第3楽章の軽快なヴァイオリンと重厚なオーケストラの響きが素晴らしい。提示部ではホルンの明るい響きもきれいです。展開部もきれいな演奏でファゴットの響きも見事なものです。カデンツァはこちらも素晴らしい響きです。この演奏は名演です。


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