田園交響曲

アンドレ・クリュイタンス/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(1960)

CD(ERATO 0190295381066-4) 

1.ベートーヴェン/交響曲第6番ヘ長調 Op68「田園」
2.    〃   /「アテネの廃墟」序曲Op113
3     〃   /交響曲第8番ヘ長調 Op93

  アンドレ・クリュイタンス指揮
   ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
  録音 1960年3月2、3&9日(1)
      1960年11月25日(2)
      1957年12月10〜17日(3)

 アンド・クリュイタンスがベルリン・フィルを指揮したベートーヴェンの交響曲全集です。
 交響曲第6番「田園」は第1楽章の冒頭は静かに、そして一気に盛り上げていきます。ここでもローター・コッホの美しいオーボエが響きます。提示部の穏やか響きはホルン以外の金管楽器と打楽器の入らない楽章だけに良い響きです。展開部はフレーズの繰り返しがあります。田園風景の奥深さでしょうか。再現部は弦楽と管楽器のバランスのよい演奏です。コーダのクラリネットが大変きれいに響きます。第2楽章の「小川のほとりの情景」は小川の流れを感じさせる弦楽の動きがきれいに響きます。管楽器のレガートがきれいです。ファゴットの第2主題が小川の流れの良さを感じさせます。続く弦楽も素晴らしい響きです。
再現部のフルート、オーボエの歌は鳥の鳴き声のように聞こえます。コーダのフルート、オーボエ、クラリネットが歌う小鳥の鳴き声は素晴らしい演奏です。
 第3楽章のアレグロは流麗な演奏です。オーボエ、クラリネット、ホルンと続くソロは素晴らしい響きです。トリオの迫力ある演奏はまさに踊っているかのようです。第4楽章の「嵐」は嵐の前の静けさから一気に嵐の大雨になる様子、ティンパニの雷鳴と生々しい響きがあります。
また大雨がきて、雲が流れていく様子も感じられます。遠雷の表現は見事です。第5楽章の「嵐のあとの感謝の気持ち」はクラリネットに続くホルンでよく表れています。そして「牧人の歌」は喜びにあふれています。主題の変奏もよい響きになって素晴らしい「田園」です。コーダの素晴らしい演奏、ホルンのソロもきれいに響きます。
 「アテネの廃墟」序曲は悲劇的な主題に始まります。オーボエのソロもきれいです。短い作品ですがベートーヴェンの厚い響きは同じです。
 交響曲第8番は第1楽章のアレグロ・ヴィヴァーチェ・エ・コン・ブリオが冒頭から良い響きです。主題が大変きれいに響きます。クリュイタンスの説得力のある演奏が聴かれます。1950年代のベートーヴェンらしさを感じます。木管のユニゾーンが大変きれいです。第2楽章のスケルツァンドはメトロノームのようなリズムを刻むのが特徴です。主題はきれいに響きます。弦楽の刻みも鮮やかです。第3楽章のメヌエットは大変良い響きでファゴットの響きもきれいです。トリオのホルンの二重奏とクラリネットの響きの美しい演奏はこのメヌエットの聴きどころです。ホルンのデュオは素晴らしい響きです。第4楽章はアレグロ・ヴィヴァーチェ、弦楽の刻みの素晴らしい響きと、勢いのある演奏が素晴らしい。強弱のはっきりとした演奏、木管のきれいな響き、これは圧倒的な名演です。


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