田園交響曲

テオドール・グシュルバウアー/ニュー・フィルハーモニア管弦楽団(1974)
CD(ERATO 0630-12804-2) 

1.ベートーヴェン/交響曲第5番ハ短調Op67「運命」
           (第1楽章リピート:原典版)
2.   〃   /交響曲第6番ヘ長調Op68「田園」

  ウォルフガング・サヴァリッシュ指揮
     NHK交響楽団(1)
  テオドール・グシュルバウアー指揮
    ニュー・フィルハーモニア管弦楽団(2)
  録音 1982年5月7&8日(1)
      1974年(2)

 交響曲第5番「運命」はサヴァリッシュがRCAにN響とスタジオ録音した音源と同一音源です。速めのテンポでぐいぐい進む演奏です。第1楽章冒頭は弦楽がレガート気味に滑らかに演奏します。ホルンの力強いファンファーレは実に素晴らしい響きです。展開部も素晴らしい響きです。特に弦楽の厚みのある響きは驚きです。ティンパニも良い響き、オーボエのカデンツァもきれいです。再現部のファゴットのファンファーレはファゴットによる原典版です。コーダまでの緊張感は素晴らしいものです。第2楽章はやや遅めのテンポで主題を丁寧に歌っています。ここも弦楽の美しさがあります。第1変奏の良い響き、全合奏の厚い響き、第2変奏においても同様で、素晴らしい響きが聴かれます。木管四重奏からのクライマックスも聴きものです。木管の第3変奏もきれいな響きで驚きです。そしてコーダも感動的な演奏です第3楽章は序奏に続くホルンの明るい響きが素晴らしい。この楽章の厚い響き、フーガの力強い弦楽の素晴らしさ、ここはサヴァリッシュの解釈の素晴らしさがあります。フィナーレはドイツ的な重厚な響きで厚みのある演奏です。提示部の厚い響き、展開部の響きの良さ、再現部の緻密な演奏と感動的な演奏が続きます。コーダのホルンの主題とピッコロの響き、ここは聴きどころです。プレストから終結までの緊張感は圧倒的です。超名演です。
 グシュルバウアーの交響曲第6番「田園」は彼の数少ないベートーヴェンの1曲と思われます。ウィーン生まれ、ウィーン音楽院で学び指揮はスワロフスキー、カラヤン、マタチッチ、シュルヘンに学んだ彼の「田園」はウィーンの「田園」を表現できる指揮者でしょう。このニュー・フィルハーモニアを振った「田園」はウィーンのオーケストラの演奏のように流麗できれいな演奏でです。第3楽章や第5楽章のホルン・ソロは理想的な演奏です。隠れた名演といえましょう。


トップへ
戻る
前へ
次へ