田園交響曲

リッカルド・ムーティ/スカラ座フィルハーモニー管弦楽団(1997/98)
CD(PHILIPS 464 454-2)

1.ベートーヴェン/交響曲第5番ハ短調Op67「運命」
       (第1楽章、第4楽章リピート:原典版) 
2.     〃  /交響曲第6番ヘ長調Op68「田園」

  リッカルド・ムーティ指揮
   スカラ座フィルハーモニー管弦楽団
  録音 1997/98年ライヴ
     ミラノ・スカラ座歌劇場

 ムーティがスカラ座フィルハーモニーを指揮したベートーヴェンです。
 交響曲第5番「運命」は第1楽章冒頭の重厚な響きが素晴らしく、ウィーン・フィル同様の響きを出しています。ホルンのファンファーレは明るいです。ここがイタリアのオーケストラらしいところです。展開部の流れも素晴らしく、勢いがありますし弦の厚みも素晴しい。オーボエのカデンツァにも聴きほれます。再現部ではファゴットのファンファーレを原典版のとおり吹いています。第2楽章は程よいテンポで主題を表情豊かに歌っています。見事なドルチェです。ヴィオラの3連符がここもあざやかです。低弦の強調にはびっくり。第1変奏の美しさもいうことありません。木管四重奏は流れるような演奏でした。第3楽章は序奏の低弦の響きに驚きます。ホルンの主題は明るく素晴らしい。フーガの演奏は低弦の厚い響きがあります。フィナーレの冒頭は速いテンポで大変厚い響きを出しています。提示部のリピートがあります。展開部では管楽器の響きがきれいです。トロンボーンの主題はレガートです。第3楽章の回想はオーボエが美しい。再現部も良い響きです。コーダのホルンの主題は実にきれいです。プレストから終結は圧倒的な演奏でした。最後のフェルマータも長いです。
 交響曲第6番「田園」は程よいテンポでさわやかな演奏です。第1楽章では提示部のリピートがあります。展開部における同じフレーズの連続は良い盛り上がりです。コーダのファゴットとクラリネットがきれいです。第2楽章の小川のほとりの情景はまさに流れるような演奏です。第3楽章のオーボエ、クラリネット、ホルンのソロがきれいです。第4楽章「嵐」の凄まじい響きも迫力十分です。第5楽章においてはホルンの奥深い響きが田園の象徴ともいえましょう。


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