田園交響曲

朝比奈 隆/新日本フィルハーモニー交響楽団(1998)
CD(fontec FOCD9768)

ベートーヴェン/交響曲集
1.交響曲第1番ハ長調Op21
2.交響曲第6番ヘ長調Op68「田園」

  朝比奈隆指揮
   新日本フィルハーモニー交響楽団
   録音 1997年9月29日(1) 
       1998年3月16日(2) 
      サントリーホール・ライヴ 

 このアルバムは朝比奈隆のベートーヴェン交響曲、8度目の全集となったライヴの1枚です。
 交響曲第1番は第1楽章の落ち着いたテンポはこの作品の隠れた魅力を引き出しています。提示部の流麗な演奏、管楽器の美しい響き、主題の受け渡し、このベートーヴェンの若き日の名曲が大きく響きます。第2楽章のアンダンテ・カンタービレは落ち着いたテンポでレガートの美しい演奏です。これぞアンダンテ・カンタービレといえる演奏です。第3楽章はアレグロ・モルト・エ・ヴィヴァーチェで勢いのある演奏です。トリオは弦と管が良い対話になっています。これも良い響きです。第4楽章は序奏の弦の美しい響き、主部のアレグロ・モルト・エ・ヴィヴァーチェは勢いのある演奏です。上昇気流にのったような主題でこのさわやかな演奏は交響曲第1番の魅力を教えてくれる名演です。
 交響曲第6番「田園」は第1楽章の冒頭は穏やかな歌いだし。そして軽やかな主題になります。速すぎず、田園を見たときのすがすがしい気分を表現しているようです。提示部のリピートがあります。展開部はフレーズの繰り返しになります。ここは勢いのある演奏です。再現部では全合奏の素晴らしい響き、そして弦楽と管楽器のバランスのよい響きが聴かれます。第2楽章の「小川のほとりの情景」は小川の流れを感じさせる弦楽の動きがきれいです。そしてクラリネットの主題が美しく流れます。管楽器の美しい響き、ファゴットの第2主題が流麗な演奏で小川の流れを感じさせます。また木管楽器の美しい音色が素晴らしいです。コーダの小鳥の鳴き声は素晴らしい演奏です。第3楽章のアレグロは大変流麗な演奏です。オーボエ、クラリネット、ホルンと続くソロは大変きれいです。トリオの勢いの良さもあります。第4楽章の「嵐」は嵐の前の静けさから一気に嵐の大雨になる様子、雷鳴と生々しい響きは迫力があります。また大雨がきて、雲が流れていく様子までよい表現です。遠雷の表現も素晴らしいです。第5楽章の「嵐のあとの感謝の気持ち」はホルンのソロが大変素晴らしい響きです。そして「牧人の歌」は喜びにあふれています。木管楽器の流れるような主題と弦楽の奥深い響き、後半の厚い響き、コーダのホルンと素晴らしい「田園」です。


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