シューベルト/流れの上で

ペーター・ドルフマイヤー(2017〜18)
CD(PREISER RECORDS PR91390)

ウィーンの音楽
1.カール・ピルス/ソナタ形式の3つの小品
2.アントン・グマヒル/:ホルンとピアノのための音楽
3.クルト・シュヴェルツィク/:ソナチネOp1
4.マルティン・ライナー/ホルンとピアノのための
                二重奏曲
5.シューベルト/流れの上で D.943
6.ヨハン・シュトラウス2世/
    「踊り子・ファニー・エルスラー」より
     「シーヴェリングの向こう」(ホルヴァート編)

 ペーター・ドルフマイヤー(ウィンナ・ホルン)
 ヨハネス・ウィルヘルム(ピアノ)
 クリスティーナ・ガンシュ(ソプラノ)(5&6)
 録音 2017〜2018年

 ウィーン交響楽団の首席ホルン奏者ペーター・ドルフマイヤーによるロマン派から現代までのホルン作品集です。ソプラノのガンシュも共演しています。
 カール・ピルス(1902〜1979)の「ソナタ形式の3つの小品」は3つの楽章から構成されています。小品とはいっても全曲26分を超える大曲です。第1楽章:シンフォニアは雄大さを感じられます。第2楽章:間奏曲は抒情的な部分と軽快な主題の部分があります。第3楽章:ロンド・アラ・カッチャはまさに狩のロンドです。ドルフマイヤーの演奏は素晴らしいです。
 アントン・グマヒル(1989〜)の「:ホルンとピアノのための音楽」は初録音です。6分ほどの小品で、自由な形式になっています。ホルンのテクニックを駆使するような曲でよくできた作品です。
 クルト・シュヴェルツィク(1935〜)の「ホルンとピアノのためのソナチネOp1」は1953年18歳に書いたものを1971年に改訂しています。4つの小品で構成されています。第2曲「ラメント(哀歌)」は切ない音楽、第3曲「アラ・カッチアトラ」は狩りのホルン風の小品。第4曲「クオドリベット」は軽快なピアノとホルンの会話のような小品です。
 マルティン・ライナー(1987〜)の「:ホルンとピアノのための二重奏曲」はユニークな作品で、ホルンを吹きながら声も出すという難しいものです。ホルンでトリルを吹くような声のトリルという凄い技もあります。声のトーンとホルンのトーンをスムーズにつなぐ難しさがあります。時には狼の遠吠えのような部分もあります。ドルフマイヤーの凄技が聴かれます。
 シューベルト(1797〜1828)の「流れの上で」はテノール、ホルンとピアノのための歌曲ですが、ソプラノでも歌われます。冒頭ホルンとピアノで始まります。ホルンとソプラノが対話するように歌うこの作品はホルンの作品としても大変素晴らしいものです。ドルフマイヤーのホルンもまた素晴らしい演奏です。ガンシュのソプラノもよい歌唱です。
 ヨハン・シュトラウス2世(1825〜1899)のオペレッタ:「踊り子・ファニー・エルスラー」より「シーヴェリングの向こう」はオペラ・アリアですが、これをローラント・ホルヴァートがホルンとピアノ用に編曲したものです。主役はソプラノです。ホルンはオブリガートとして中低音をおとなしく演奏しています。


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