ベートーヴェン/ホルン・ソナタ

シュテファン・カッテ(2020)
CD(Ars Vobiscum ARS 211334)

ベートーヴェン/室内楽作品集
1.「マカベウスのユダ」の主題による12の変奏曲
                      WoO.45
2.アンダンテ・ファヴォリ ヘ長調 WoO.57
3.モーツァルトの魔笛の「娘か女か」の主題による
           12の変奏曲Op.66
4.モーツァルトの魔笛の「恋を知る男たちは」の
    主題による7つの変奏曲 変ホ長調 WoO.46
5.ホルン・ソナタ ヘ長調 Op17

 ペーター・ヘル(チェロ)(1、3&4)
 シュテファン・カッテ(ナチュラルホルン)(5)
 リー ゼ・クラーン(フォルテピアノ )(1〜5)
 録音 2020年7月16〜20日
  ワイマール、ベルヴェデーレ宮殿

 19世紀オリジナル楽器を使用したベートーヴェンの室内楽作品です。
 「マカベウスのユダ」の主題による12の変奏曲はチェロとピアノのための作品。有名なヘンデルの「マカベウスのユダ」の「見よ勇者は帰る」の主題を使っての変奏曲です。ベートーヴェンのチェロ作品の名曲の1つです。ヘルのチェロとクラーンのフォルテピアノのさわやかな響きがなんとも言えません。名演です。
 「アンダンテ・ファヴォリ ヘ長調」は1803年ころに書かれたピアノ作品です。1825年生のオリジナル楽器の響きは重くないので、さわやかなピアノになります。クラーンの演奏は表現力も豊かで素晴らしい演奏です。
 モーツァルトの魔笛の「娘か女か」の主題による12の変奏曲はチェロとピアノのための作品です。モーツァルトのアリアの特徴的な主題を使って見事な変奏曲になっています。ピアノとチェロが対話するようなこの変奏曲はベートーヴェンらしい作品です。演奏も素晴らしいものです。
 モーツァルトの魔笛の「恋を知る男たちは」の主題による7つの変奏曲は、これもチェロとピアノのための作品。こちらは、やや穏やかな主題で始まり、これの変奏はさすがにベートーヴェンで細やかな変奏曲が演奏されています。チェロ・ソナタは傑作ぞろいですが、これらの変奏曲もまた素晴らしい作品です。
 「ホルン・ソナタ ヘ長調」はシュテファン・カッテのナチュラルホルンによる演奏です。ピアノはベートーヴェンの愛用していたエラール・フレールのフォルテピアノを弾いていますので、まさにベートーヴェンの響きです。第1楽章はカッテのナチュラルホルンが滑らかで、実に素晴らしい演奏です。ストップ音が気になりません。短い第2楽章に続く第3楽章はロンドでアレグロ・モデラート、ピアノのきらめきとホルンの流麗な演奏は素晴らしいものです。このホルン・ソナタのイメージを一新してしまうような素晴らしい演奏です。後半に突然、即興的な短いカデンツァを入れています。これもまたシュテファン・カッテの素晴らしいところです。絶賛したいと思います。


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