1980〜1999年の演奏

宇野 功芳/アンサンブルSakura(1998)
CD(自主制作 FPCD2724)

1.ベートーヴェン/「コリオラン」序曲Op62
2.   〃   /交響曲第5番ハ短調Op67「運命」
      (第1楽章リピート:ワインガルトナー版)

  宇野 功芳指揮
    アンサンブルSakura
  録音 1998年1月18日ライヴ
     石橋メモリアル・ホール

 アンサンブルSakuraは日大管弦楽団OB&OGによって1991年に設立されました。この演奏は宇野功芳先生の指揮ということで注目されました。
 「コリオラン」序曲は歴史に残る爆演です。ティンパニが壊れるんじゃないかと思えるほどの大音響です。またテンポの変化や和音ではアルペッジョを要求するなどアマチュアには厳しいものでした。聴いたあとが気分爽快になる不思議さがあります。
 交響曲第5番「運命」は新星日本響の演奏のように遅いテンポの演奏です。提示部のリピートがありますが第2主題でテンポを落としてテンポアップするところ、展開部冒頭の遅いテンポは面白いです。またその展開部でゆったりとした演奏とリタルダンドは宇野先生の独壇場でしょう。そのわりにはオーボエカデンツァのテンポが速いです。再現部のファゴットのファンファーレはホルンで吹いています。それにしても面白い演奏です。ティンパニの炸裂があります。コーダの運命の主題の強調とテンポの落とし方、終結のテンポアップはフルトヴェングラー顔負けです。
 第2楽章はゆったりとしたテンポで演奏しています。ほとんどテンポの変化はないかと思えば木管四重奏のあとにぐっとテンポを押してきました。コーダもテンポを落としていました。第3楽章も遅いテンポで進みます。フーガのあとにティンパニの強打があるのにはびっくりでした。
 フィナーレでは冒頭をゆったりとしたテンポで演奏していますが、展開部ではもっとテンポを落とす部分があります。そしてテンポアップしてきます。第3楽章の回想前のテンポの落とし方は凄いです。再現部は提示部よりも少し速いテンポになっています。ティンパニの強打は続きます。コーダに入って和音のあとに続くホルンの主題からはテンポが速くなります。プレストはとにかく速いテンポで一気に進みティンパニの炸裂、そしてテンポを落として最後のフェルマータになるのですが、ここでもティンパニの強打が凄いです。演奏そのものはミスや多少の乱れはありますがなにが起きるかわからない演奏は手に汗握るものです。満腹感を感じる演奏で聴き応えがあります。


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