モーツァルト/ホルン協奏曲

2番/ティモシー・ジョーンズ(2019)
CD(LSO Live LSO0855)2枚組

モーツァルト/管楽のための作品集
CD1
1.ホルン協奏曲第2番変ホ長調K417
2.オーボエ協奏曲ハ長調K314
3.クラリネット協奏曲イ長調K622
CD2
4.協奏交響曲変ホ長調K297b
5.セレナード第10番変ロ長調K351
      「グラン・パルティータ」

 ティモシー・ジョーンズ(ホルン)(1&4)
 オリヴィエ・スタンキエヴィチ(オーボエ)(2)
 アンドルー・マリナー(クラリネット)(3)
 ジュリアナ・コッホ(オーボエ)(4)
 クリス・リチャーズ(クラリネット)(4)
 レイチェル・ゴフ(ファゴット)(4)
 LSO木管アンサンブル(5)
 ハイメ・マルティン指揮
   ロンドン交響楽団
 録音 2019年10月12&13日(1〜4)
     2015年10月31日(5)

 ロンドン交響楽団の演奏家たちによるモーツァルトの管楽器のための作品集です。
 ホルン協奏曲第2番はティモシー・ジョーンズのホルンによる演奏です。イギリスのホルン奏者らしい演奏ですが、第1楽章ではアドリブ的な演奏もあります。でもホルンはレガートが大変滑らかな演奏です。第2楽章のアンダンテはロマンティックでレガートのきれいなホルンが朗々と歌われます。美しいホルンです。第3楽章のロンドは軽やかなホルンで良い響きです。コーダまで大変素晴らしいホルンです。
 オーボエ協奏曲ハ長調はオリヴィエ・スタンキエヴィチのオーボエによる演奏です。この作品はフルート協奏曲第2番の原曲でした。第1楽章からオーボエの軽やかで美しい響きの主題が聴かれます。第2楽章のアダージョ・ノン・トロッポでも美しいカデンツァが聴かれます。第3楽章のロンドでも美しい響きが見事なものです。カデンツァが素晴らしい響きです。
 クラリネット協奏曲イ長調はアンドルー・マリナーのクラリネットによる演奏です。クラリネット協奏曲の傑作といえるモーツァルトのこの作品は名演が多いです。ロンドン交響楽団をバックにクリス・リチャーズのクラリネットが華麗に響きます。第2楽章のアダージョは大変美しい主題が歌われます。甘い音色のクラリネットが響き渡ります。第3楽章のロンドはモーツァルトの傑作と言っても良いほどの軽やかで美しい主題が歌われます。クラリネット協奏曲の魅力あふれる作品です。演奏も素晴らしいです。
 協奏交響曲変ホ長調K297はオーボエ、クラリネット、ホルンとファゴットのための協奏交響曲です。第1楽章の長い序奏のあとに聞きなれた4つのソロ楽器の響きはまたよいものです。受け継がれる主題のよい響き、オーボエとクラリネットの響きの良さも素晴らしいです。そしてホルンとファゴットもまた大変良い響きです。展開部の絶妙な響きも素晴らしいです。カデンツァのアンサンブルは素晴らしい響きです。第2楽章のアダージョは冒頭オーボエ、ホルンからクラリネットに受け継がれる主題の響きが美しいです。そしてオーボエに続く優雅な響きはモーツァルトを聴く楽しみです。オーボエ、クラリネット、ホルンそしてファゴットというやわらかな響きには癒されます。第3楽章はアンダンティーノ、4つのソロ楽器が良いアンサンブルを奏でます。この楽章は変奏曲になります。リチャーズのクラリネット、ジョーンズのホルンなどそれぞれの演奏はモーツァルトの美しさを聴かせてくれます。
 セレナード第10番「グラン・パルティータ」は別名「13管楽器のためのセレナード」とも言われますが、13番目の楽器はコントラバスになります。この作品は7つの楽章からなる大きな組曲ということから「グラン・パルティータ」と名づけられますが演奏時間は47分という大曲です。演奏はロンドン交響楽団のメンバーです。 第1楽章は序奏に続くアレグロ・モルトの華やかな響き、第2楽章のメヌエットは美しい響きが素晴らしいです。第3楽章アダージョはアンサンブルの美しい響き、第4楽章のメヌエットは楽しくて勢いのある演奏です。第5楽章のロマンスはアダージョからアレグレットになります。木管の美しさがあります。第6楽章は主題と変奏、クラリネットに主題が歌われます。そしてオーボエの演奏がありますが、これがモーツァルトのフルート四重奏第3番ハ長調K285bの第2楽章にも使われています。またホルンとファゴットによる低音の充実も見逃せないでしょう。この第6楽章は最も長い楽章になります。第7楽章フィナーレの楽しい雰囲気はモーツァルトの求めたセレナードやディヴェルティメントの特徴でもありましょう。名演奏です。


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