第七交響曲

トーマス・アデス/ブリテン・シンフォニア(2019)

CD(Signum Classics SIGCD687JP)全集

ベートーヴェン/交響曲全集、他
CD3
1.交響曲第4番変ロ長調Op60
2.交響曲第5番ハ短調Op67「運命」
 (第1楽章、第4楽章リピート:原典版)
3.バリー/ヴィオラ協奏曲
CD4
4.交響曲第6番ヘ長調Op68「田園」
5.バリー/アイルランド征服
CD5
6.交響曲第7番イ長調Op92
7.交響曲第8番ヘ長調Op93

 ローレンス・パワー(ヴィオラ)(3)
 ジョシュア・ブルーム(バス)(5)
 トーマス・アデス指揮
  ブリテン・シンフォニア
  録音 2018年5月22日(1&2)
      2019年5月21日(3、6&7)
      2018年5月24日(4&5)

 トーマス・アデスがブリテン・シンフォニアを指揮したベートーヴェン交響曲全集の中の3枚です。間にバリーの作品も演奏されています。
 交響曲第4番は第1楽章の序奏で良い響きを出しています。そして提示部の主題はテンポは速いのですが見事な演奏です。弦楽の響きの良さ、ファゴットの明るい響きもまたいいものです。まさに勢いのある演奏です。展開部は木管もきれいな演奏です。再現部の響きは木管も弦楽もきれいな演奏です。第2楽章のアダージョはやや速めのテンポで強弱のメリハリを付けた演奏です。管楽器の響きもきれいです。クラリネットが良い響きです。後半も弦楽と管楽器の響きの良さがあります。ホルンもきれいな響きです。終結も素晴らしい響きです。第3楽章のアレグロ・ヴィヴァーチェは弦楽と管楽器の対話のように演奏しています。これは楽しそうです。トリオも同じです。強弱の付け方が素晴らしいです。この繰り返しがたまりません。見事な演奏です。第4楽章のアレグロ・マ・ノン・トロッポは速めのテンポで演奏しています。オーボエとフルートの響きは素晴らしいです。弦楽の響きは素晴らしいです。中間部の木管も良い響きです。コーダの演奏も素晴らしいです。

 交響曲第5番「運命」は第1楽章冒頭は重厚な響きで、速めのテンポですがフェルマータはしっかり伸ばしています。ホルンのファンファーレは明るい響きがきれいです。提示部のリピートも素晴らしい響きです。展開部は弦楽と管楽器のバランスのよい見事な演奏です。速めのテンポで強弱をはっきりとさせたもので、ティンパニも良い響きです。ホルンは良い響きです。オーボエのカデンツァもきれいです。再現部のファンファーレはファゴットによる演奏です。コーダまでの力強い演奏は素晴らしいものです。フェルマータはよく伸ばしています。終結も見事な演奏です。第2楽章は程よいテンポで主題を丁寧に歌っています。弦楽の美しさがあります。木管も良い響きです。第1変奏の美しい響き、全合奏の厚い響きと低弦の力強さ、トランペットも良い響きです。第2変奏においても同様で、ファゴットとクラリネットの良い響きが聴かれます。木管四重奏の美しい響き、そしてクライマックスも良い響きです。木管の第3変奏は音が短めですがきれいな響きです。第4変奏のファゴットのきれいな響き、そしてコーダから終結は見事な演奏です。第3楽章は序奏に続くホルンの響きが大変きれいです。木管は良い響きです。フーガの力強い弦楽の演奏、低弦の力強さがあります。コーダまでの緊張感、木管とホルンの美しい響き、これが素晴らしいです。フィナーレはやや速めのテンポで冒頭の重厚な響きは見事な演奏です。ホルンと木管の良い響きが聴かれます。提示部のリピートがあります。素晴らしい演奏です。展開部の響きの良さ、フルートのきれいな響き、トランペットとトロンボーンの良い響きがあります。第3楽章の回帰のクラリネットとオーボエの美しい響き、再現部の緻密な演奏と見事な演奏が続きます。コーダの和音とホルンの主題、ピッコロの良い響きと素晴らしい演奏が聴きものです。プレストから終結までの圧倒的な演奏、最後のフェルマータもたっぷり伸ばしてティンパニがクレシェンドしています。見事な演奏です。

 ジェラルド・バリー(1952〜)の「ヴィオラ協奏曲」は2018〜19年の作品です。ヴィオラのソロ部分は静かできれいに聞こえますが、オーケストラの響きは壮絶です。オーケストラが主役のようです。トロンボーンが賑やかです。後半もヴィオラが優しく響くとオーケストラが壮大な音を出してきます。後半に短いカデンツァのようなソロが静かに聴かれます。そのあとにテューバやトロンボーンが大騒ぎします。独特な作品です。

 交響曲第6番「田園」は第1楽章の冒頭から美しい響きです。そして一気に盛り上げていきます。オーボエが良い響きです。全合奏は良い響きです。ホルンもきれいに響きます。木管もきれいな演奏です。提示部のリピートがあります。展開部はフレーズの繰り返しがあります。弦楽と管楽器の美しい響きが聴かれます。再現部は弦楽と管楽器のバランスのよい演奏です。コーダのクラリネットが大変きれいに響きます。最後はたっぷり伸ばしています。第2楽章の「小川のほとりの情景」は小川の流れを感じさせる弦楽の動きがきれいに響きます。管楽器の響きもきれいです。ファゴットに始まる第2主題が小川の流れの良さを感じさせます。続く弦楽も素晴らしい響きです。展開部のフルート、オーボエの歌は鳥の鳴き声のように聞こえます。きれいです。再現部の木管やホルンの響きもきれいです。コーダのフルート、オーボエ、クラリネットが歌う小鳥の鳴き声は素晴らしい演奏です。終結も良い響きです。第3楽章の「田舎の人々の楽しい集い」はやや速めのテンポでの演奏です。ホルンが良い響きです。オーボエ、クラリネット、ホルンと続くソロは素晴らしい響きです。ホルンがきれいです。トリオの迫力ある演奏は見事な演奏です。トランペットの響きがきれいです。第4楽章の「嵐と雷雨」は嵐の前の静けさから一気に嵐の大雨になる様子、ティンパニの雷鳴と生々しい響きがあります。ティンパニの響きは豪快で凄い音です。また大雨がきて、雲が流れていく様子も感じられる見事な演奏です。コーダの遠雷の表現は見事です。オーボエもきれいに響きます。第5楽章の「嵐のあとの感謝の気持ち」はクラリネットに続くホルンの美しい響きでよく表れています。そして「牧人の歌」は喜びにあふれています。ホルンの角笛、主題の変奏もよい響きになって素晴らしい演奏です。コーダの素晴らしい響き、最後はミュート・ホルンのソロがきれいに響きます。これは素晴らしい名演です。

 バリーの「アイルランド征服」は1995年の作品です。これはジョシュア・ブルームのバス独唱が入る作品です。これはアイルランド軍事侵攻のテキストが使われているようです。見事な声楽作品の演奏です。オーケストラも素晴らしい響きです。

 交響曲第7番は第1楽章の冒頭ズシーンとくる和音がきれいです。程よいテンポでオーボエのソロもまたきれいです。ホルンもきれいに響きます。序奏はこの曲の重要な部分です。フルートとオーボエのソロがきれいな演奏をしています。提示部のフルートのソロから全合奏におけるホルンの響きがきれいです。また弦楽セクションのうまさは抜群で、ティンパニも良い響きで、あらためてこの第七の魅力を感じます。提示部のリピートがあります。再び提示部の凄い演奏が聴けます。展開部においてはこの作品の特徴、同じフレーズの繰り返しに圧倒されそうです。再現部の素晴らしい響き、ホルンの響きに続くコーダでは低弦のフレーズの連続が凄いです。終結のホルンの響きが素晴らしい。第2楽章「アレグレット」は引きずるような弦楽の足取りと続く対旋律の美しさが聴きどころです。管楽器が加わる全合奏は感動的です。中間部の管楽器の演奏は素晴らしいもので、ホルンもきれいな響きです。終結部も圧倒的な響きです。第3楽章「プレスト」は勢いのある演奏です。ここはプレストのリズムとトリオが交互にきますが、このトリオのメロディが単純で、そこに対旋律が入ることで凄い音楽になっています。ホルンの活躍があります。盛り上がりが抜群です。続くスケルツォも勢いがあります。ティンパニも大変良い響きです。第4楽章「アレグロ・コン・ブリオ」は速めのテンポで進みます。ホルンのハイトーンは迫力があります。この楽章は演奏はきつそうですが、このオーケストラは抜群の演奏を聞かせてくれます。ティンパニも大変よい響きです。展開部も迫力の演奏です。再現部からコーダまでの素晴らしい演奏、ホルンが素晴らしい響きです。終結も感動的です。これは素晴らしい名演です。

 交響曲第8番は第1楽章の弦楽の華やかさが聴きものです。金管のよい響き、木管のユニゾーンもきれいです。提示部のリピートがまたきれいな演奏です。展開部のファゴットが大変良い響きです。再現部の厚い響きも素晴らしいです。コーダのティンパニや管楽器の響きは見事です。第2楽章のスケルツァンドはメトロノームのようなリズムを刻むのが特徴です。快適なテンポで演奏しています。中間部の木管の響きはきれいです。メリハリのある弦楽の緻密な演奏はここも素晴らしいものです。第3楽章のメヌエットは大変良い響きでファゴットの響きもきれいです。トリオのホルンの二重奏の美しい演奏とクラリネットの響きの美しさは素晴らしいです。弦もよい響きです。このメヌエットは素晴らしい演奏です。第4楽章はアレグロ・ヴィヴァーチェ、弦楽の刻みの素晴らしい響きと、勢いのある演奏が素晴らしい。ティンパニも良い響きです。オーケストラの鮮やかな演奏は、ここも素晴らしいです。コーダのホルンもきれいです。圧倒的な名演です。


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