1960〜1979年の演奏


カルロス・クライバー/シカゴ交響楽団(1978)
CD(Casanova CA−001)

1.ウェーバー/歌劇「魔弾の射手」序曲
2.シューベルト/交響曲第3番ニ長調D200
3.ベートーヴェン/交響曲第5番ハ短調Op67「運命」
  6:55/9:20/4:57/8:18
  (第1楽章リピート:ワインガルトナー版)

  カルロス・クライバー指揮
   シカゴ交響楽団
   録音 1978年10月12日ライヴ

 カルロス・クライバーがシカゴ交響楽団を指揮した貴重なライヴ録音です。シカゴと残した唯一のステレオ録音です。
 「魔弾の射手」はクライバーが全曲録音していました。序曲の演奏は序奏で歌われるホルンの有名な主題が実に素晴らしい響きです。
 シューベルトの交響曲第3番はクライバーが1ヶ月前の1978年9月にウィーン・フィルとこの3番と「未完成」を録音したばかりでした。実にきれいな響きを出しています。この作品の魅力を十分に引き出した演奏です。
 交響曲第5番「運命」は第1楽章冒頭の厚みのある響きが素晴らしく、ウィーン・フィルとの演奏同様気迫に満ちたものです。ホルンのファンファーレは強く、第2主題の穏やかな印象といいその対比が絶妙です。展開部の勢いのある演奏は全く息つく暇もないほどの緊張感あふれる演奏です。オーボエのカデンツァがきれいです。再現部のファゴットのファンファーレはファゴットにホルンを重ねて吹いていました。コーダまでの音の洪水、運命の主題の爆発的な響きと圧倒されます。第2楽章はやや速めのテンポで主題を演奏しています。また管楽器の強奏は極端で強弱をはっきりさせた名演です。第2変奏におけるファゴットとクラリネットの対話、木管四重奏の美しさ、第3変奏の木管の絶妙な響きということありません。第3楽章は序奏でリタルダンドをかけてホルンの主題に入ります。このホルンは4本使っているようで大きな響きを出しています。これくらい出して良いと思います。フーガの演奏は勢いがありスピード感豊かな演奏で驚きます。 フィナーレは直前のクレッシェンドから一気に入り厚みのある響きが素晴らしい。圧倒的な提示部から展開部に入ると弱奏における木管の美しさ、続く金管の圧倒的な響きと凄い演奏です。第3楽章の回帰のオーボエの美しさ、そして再現部における圧倒的な響きはこの曲を聴く醍醐味でもありますが、速いテンポでも全く乱れのないシカゴの演奏には舌を巻いてしまいます。コーダのホルンの主題は抑えの効いた見事な響きです。そしてプレストから終結まで息をもつかせない見事な演奏です。フェルマータが消える前から興奮した聴衆の拍手が湧いていました。思わず拍手でした。


トップへ
戻る
前へ
次へ