1930年代の演奏

アルトゥーロ・トスカニーニ/NBC交響楽団(1939−2)

CD1(RELIEF CRCB10004)
 ベートーヴェン/交響曲第5番ハ短調Op67「運命」
  7:15/9:14/4:46/8:36
  (第1楽章リピート:トスカニーニ版)
CD2(Fono EnterAB 78505)
 ベートーヴェン/交響曲第5番ハ短調Op67「運命」
  7:15/9:41/5:09/9:01
  (第1楽章リピート:トスカニーニ版)

 アルトゥーロ・トスカニーニ/NBC交響楽団
 録音 1939年11月11日 8Hスタジオ・ライヴ

 この1939年11月のライヴは全曲が演奏されており、1971年にトスカニーニ全集100枚セットが発売された時、解説書にその記述がありました。しかしこれはトスカニーニ協会のプライヴェート盤で入手困難でした。CD化は嬉しいことです。なお、CD2はデータが1939年11月11日になっていますが、収録されていたのは2月27日&3月1&29日のスタジオ録音でした。聴いてみないとわからないものです。
 交響曲第5番の演奏ですが、これは上記録音データで一目瞭然ですが、速いテンポで緊張感があります。第1楽章はスタジオ盤とテンポ運びはほぼ同じですが、随所にクレッシェンド効果を加えています。展開部はスタジオ盤以上に緊張感があります。再現部のホルンのクレッシェンドは極端です。ファンファーレのホルンも素晴らしいです。363小節から368小節で木管楽器の音型にホルンを重ねています。コーダもばりばりです、ティンパニはかなり暴れます。
 第2楽章の主題は流れるようにきれいです。また第1変奏のチェロがきれいです。第3変奏からのクライマックスは厚みのある響きがあります。
 第3楽章の序奏はリタルダンド、フェルマータは長いですが、スタジオ盤よりも早くホルンの主題に突入します。フーガのアンサンブルは抜群で気迫に満ちています。後半の経過部のリタルダンドもしっかりかけています。フィナーレへのリタルダンドの緊張感はたまりません。
 第4楽章の冒頭はスタジオ盤以上に圧倒的です。展開部への強烈なティンパニもさすがです。展開部もかなりの暴れ方です。これは胸が高鳴りますね。再現部もいうことありません。ホルンと木管のファンファーレは強烈です。コーダに入ってプレストからの緊張感は大変なものです。最後の和音の連続、最後のフェルマータでティンパニの強烈な一打、思わず拍手でした。1938年のライヴ同様、このライヴも凄い演奏です。


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