2000年代の演奏

クリストフ・エッシェンバッハ/パリ管弦楽団(2002)
CD−R(En Larmes ELS02−265)アメリカ盤

1.ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第1番ハ長調Op15
2.   〃   /交響曲第5番ハ短調Op67「運命」
  7:10/9:31/5:09/10:12(32分02秒)
    (第1楽章、第4楽章リピート:原典版)
3.ベートーヴェン/「プロメテウスの創造物」序曲Op43

 クリストフ・エッシェンバッハ(ピアノ&指揮)
      パリ管弦楽団
   録音 2002年9月7日ライヴ

 ピアニスト、エッシェンバッハのピアノ・ソロによるベートーヴェンのピアノ協奏曲第1番と「運命」です。
 ピアノ協奏曲第1番は弾き振りによる演奏です。ベートーヴェンが得意のエッシェンバッハの深い音色によるピアノ演奏は素晴らしいのひとことに尽きます。
 パリ管の「運命」は珍しいでしょう。原典版による演奏で第1楽章冒頭のフェルマータは短めです。テンポは普通でしょうか。ホルンのファンファーレはきれいです。展開部、再現部と実に良い響きを出しています。コーダのフェルマータの跡に間をおくのは印象に残ります。
 第2楽章は弦の主題が大変きれいです。木管の明るい響きはやはりフランスの香りがします。木管四重奏の美しさは白眉でしょう。続く全合奏のフレーズがテヌートになっていて驚きました。第3楽章の序奏ではリタルダンドとフェルマータの長さが印象的でホルンの明るい響きが一層鮮やかに聞こえてきます。フーガの見事なアンサンブルは聞き所です。続く低弦の鮮やかな演奏も抜群です。この楽章も気が抜けません。フィナーレに続くクレッシェンドは緊張感が漂います。フィナーレの冒頭は華やかな響きの演奏です。リピートしていますのでリピートがなければ30分という演奏時間になります。演奏スタイルは20世紀のものに近いでしょう。それだけに味のある演奏です。第3楽章の回帰はオーボエがきれいです。再現部からコーダの響きは抜群でホルンの主題は強めでした。プレストからの演奏は圧倒的です。
 「プロメテウス」序曲は序奏における表情付けが素晴らしい。


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