1960〜1979年の演奏


アンドレ・プレヴィン/ロンドン交響楽団(1973)

LP(EMI EAA-85010)
 ベートーヴェン/交響曲第5番ハ短調Op67「運命」
   9:07/11:08/5:22/11:42
   (第1楽章、第4楽章リピート:原典版)
CD(EMI ROY701142)
 ベートーヴェン/交響曲第5番ハ短調Op67「運命」
   9:09/11:12/5:24/11:45
   (第1楽章、第4楽章リピート:原典版)

  アンドレ・プレヴィン指揮ロンドン交響楽団
   録音1973年1月10&11日

 このレコードはプレヴィンのベートーヴェン初録音でした。このあとでロンドン響と第7番も録音していました。1988年のロイヤル・フィルの録音と比べるとこちらはテンポが遅いのでびっくりします。当時はブーレーズの遅い演奏がありましたので私は驚きませんでした。CDはオランダ盤のROYAL CLASSICSです。
 交響曲第5番の第1楽章は演奏時間が9分を超えるもので遅いです。そのため緊張感には欠けます。しかしオケの息はピッタリ合っていますので安心して聴けます。ホルンのファンファーレはおとなしいです。展開部はテンポが遅いので弦と管のかけあいがきれいでした。ティンパニは時に雷鳴のように響くのが面白かったです。
 第2楽章はやや遅いテンポですが、この主題を歌うのには十分なテンポです。木管特にフルートは美しい響きを出しています。第2変奏の弦、木管の合いの手はとても良い響きでした。木管四重奏はたっぷり聞かせてくれます。第3変奏の木管は8分音符をたっぷり伸ばしています。
  第3楽章は普通のテンポで、ホルンも力強い音で主題を演奏していました。トリオのフーガは見事なアンサンブルを聴かせてくれます。そのあとのフィナーレまでの緊張感はなかなかのものです。
 フィナーレはどっしりとした重みのある冒頭が見事です。提示部をリピートしていますが、ホルンの主題はリピート後のほうが良い響きを出しています。展開部は大変聴き応えのある抜群の演奏です。第3楽章の回想はオーボエの美しい響きが印象的でした。再現部はかなり熱気がこもっています。コーダからの和音の見事な響きとホルンの主題がきれいです。ピッコロは特に目立つこともなく全体の響きの中に溶け込んでいます。プレストからはもう少し速くても良いかなと思うくらい物足りなさが残りました。
 この演奏は第1楽章のテンポが遅く、きれいですがおとなしい印象を受けました。後半の3、4楽章は見事な演奏です。


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