第七交響曲

ロリン・マゼール/バイエルン放送交響楽団(1998)
CD-R(Sounds Supreme 2S-119)

1.ドビュッシー/交響詩「海」
2.ベートーヴェン/交響曲第7番イ長調Op92

  ロリン・マゼール指揮
   バイエルン放送交響楽団
  録音 2001年3月ライヴ(1)
      1998年6月ライヴ(2

 マゼールがバイエルン放送交響楽団を指揮したドビュッシーとベート−ヴェンです。どちらもマゼールが得意とする作品です。
 ドビュッシーの「海」は第1曲「海の夜明けから真昼まで」ではドイツのオーケストラからフランスの香りを感じさせる響きを引き出しています。弦による波のきらめき、管楽器によるうねりなど素晴らしく、コーダの押し寄せる波はタムタムとシンバル、ティンパニの強打と絵のようです。第2曲「波の戯れ」ではハープとグロッケンの鮮やかな響きがありますし、弦楽による波の戯れの表現がきれいです。管と弦のバランスは抜群です。第3曲「風と波との対話」では冒頭の低弦の迫力に圧倒されます。トランペットがよく響いています。ホルンの吹く風と弦の表現する波との対話が凄いです。波の表現が素晴らしいだけでなくパーカッションの響きが凄いです。後半で合いの手パッセージの挿入はありません。コーダは圧倒的で音の洪水のようでした。
 ベートーヴェンの交響曲第7番は第1楽章の冒頭ズシーンとくる和音がきれいです。オーボエのソロもまたきれいです。序奏でテンポの変化をみせるのは面白いです。重い響きのティンパニが深みを与えています。提示部の全合奏におけるホルンの響きが素晴らしい。また弦楽セクションのうまさは抜群で、あらためてこの第七の魅力を感じます。展開部においてはこの作品の特徴同じフレーズの繰り返しが圧倒します。コーダで低弦のフレーズの連続が凄いです。終結のホルンの響きが素晴らしい。第2楽章:アレグレットは引きずるような弦楽の足取りと続く対旋律の美しさがなんと言っても聞き所でしょう。管楽器が加わる全合奏は感動的です。第3楽章:スケルツォはプレストのリズムとトリオが交互にきますが、このトリオのメロディが単純で、そこに対旋律が入ることで凄い音楽になっています。ベートーヴェンという作曲家は音楽の「構築」にこだわった典型的な作品でしょう。フィナーレは速いテンポで進みます。これは踊れそうなテンポです。ワーグナーがこの作品を「舞踏の聖化」と絶賛したそうですが、この楽章はまさにその「舞踏の聖化」でしょう。管楽器も弦楽器の大変きつい楽章です。手に汗にぎる演奏です。思わず拍手したくなります。


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