1950年代の演奏

オイゲン・ヨッフム/バイエルン放送交響楽団(1959)


CD1(DGG 427 195-2)7:57/11:02/5:46/8:57
CD2(DGG UCCG3638)7:57/11:01/5:46/8:57
LP(DGG 2548 255)7:56/11:01/5:45/8:56

ベートーヴェン/交響曲第5番ハ短調Op67「運命」 
   (第1楽章リピート:ワインガルトナー版)

 オイゲン・ヨッフム指揮
  バイエルン放送交響楽団
  録音1959年4月25〜27日

 この録音はヨッフム3度目の録音です。ステレオではヨッフム初めてのものでした。LPは英国盤です。へリオドールレーベルでやや低音に不満はありますが演奏はさすがに見事です。  
 交響曲第5番の第1楽章冒頭はテーマの強調をしてフェルマータをたっぷり伸ばしています。その後のテンポは早くも遅くもなくほどよいテンポです。ホルンのファンファーレのスフォルツァンドはしっかり決めていました。展開部は強弱をはっきりさせて見事な構築です。再現部のファゴットのファンファーレはホルンに吹かせていました。コーダの運命のテーマはテンポを落として強調、たっぷりと間をおいて終結するというフルトヴェングラーのような終わり方でした。
 第2楽章はゆったりとしたテンポで主題を歌っています。弦楽器と木管楽器の絶妙なアンサンブルが聞かれます。木管四重奏は派手ではありませんが美しい響きでした。第3変奏からのクライマックスは見事な盛り上げ方です。
 第3楽章は静かな冒頭と低弦のスフォルツァンドはさすが、ホルンのテーマの強奏からフーガと見事な演奏です。テンポはやや遅めでした。
 フィナーレは管と弦のバランスの良い冒頭は厚みのある音で圧倒してくれました。ここはとてもご機嫌な演奏です。ティンパニの強打もハッとさせられます。展開部は金管の聞かせどころでした。厚みのある圧倒的なものです。第3楽章の回想は静かにオーボエが歌うと再現部に堂々と突入してくれて第5を聞く感動を呼び起こしてくれます。コーダでのホルンの主題とピッコロの強調などはアナログ録音の展開的なものですが、これがとても効果的です。最後のフェルマータは以外に短い物でした。 
 この演奏はヨッフムの第5としては68年のコンセルトヘボウ盤よりも完成度は高いでしょう。なおヨッフムはグラモフォンにベルリンフィルとの田園の名演奏を含むモノラルからステレオ初期に全9曲の録音があり最近9曲のセットも発売されました。


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