1950年代の演奏

エルネスト・アンセルメ/スイス・ロマンド管弦楽団(1958)


CD1(DECCA UCCD-3028)
CD2(LONDON POCL-9613/7)全集
LP(LONDON STS 15038)

ベートーヴェン:交響曲全集
CD1
1.交響曲第3番変ホ長調 Op55「英雄」
2.交響曲第5番ハ短調 Op67「運命」
  (第1楽章リピート:ワインガルトナー版)
   7:32/9:44/5:12/8:29

 エルネスト・アンセルメ指揮
  スイス・ロマンド管弦楽団
  録音 1960年4月(1)
      1958年4月&5月(2)

 エルネスト・アンセルメがスイス・ロマンド管弦楽団を指揮したベートーヴェンの交響曲全集の中の1枚です。 
 交響曲第3番「英雄」は第1楽章のアレグロ・コン・ブリオの演奏は厚い響きで管楽器も良い響きです。展開部のファゴットやホルンの美しい響き、再現部でもホルンの美しい響きが素晴らしいです。オーケストラも整然とした見事な演奏です。コーダのホルンの素晴らしい響きは聴きものです。第2楽章の「葬送行進曲」は弦楽の整然とした演奏には緊張感があります。オーボエと木管の対話が素晴らしいです。全合奏の盛りあがり、そして展開部における金管の響きの良さ、弦楽の緻密な演奏、何とも言えません。コーダの重厚な響きも素晴らしいです。第3楽章のスケルツォは良いテンポ運びで、きれいな演奏です。トリオのホルン三重奏が大変良い演奏です。この作品の聴きどころのひとつです。見事な演奏です。フィナーレは冒頭は勢いのある演奏で素晴らしい。主題と変奏は見事な響きです。プロメテウスの創造物の主題がオーボエで演奏されると全合奏になります。オーケストラは各楽器の響きが素晴らしいです。コーダ前のアダージョの美しさとホルンの厚い響き、コーダの素晴らしい響きは見事なものです。ティンパニも力強い演奏です。 

 交響曲第5番「運命」の第1楽章は良いテンポで、フェルマータはたっぷり伸ばしています。感動的な演奏です。ホルンのファンファーレも良い響きです。提示部の第2主題はきれいに響きます。展開部は弦楽と管楽器が整然とした演奏です。若干のテンポの変化もあります。ホルンの哀愁的な響きもきれいです。オーボエのカデンツァはきれいな響きです。、再現部のファンファーレはホルンとファゴットが重なっての演奏です。コーダまでの素晴らしい演奏がききものです。コーダはテンポを落して重厚な演奏です。終結は速めのテンポに戻ります。凄い演奏です。第2楽章のアンダンテ・コン・モトは程よいテンポの演奏です。主題の提示と全合奏の厚い響き、第1変奏と全合奏の響きの良さ、第2変奏ではファゴットとクラリネットの響きの良さ、木管四重奏のやわらかな響きの美しいこと、全合奏に続く第3変奏の主題では木管のきれいな響きが聴かれます。第4変奏のファゴットがきれいな響きです。そしてクライマックスの全合奏が素晴らしい演奏です。第3楽章は序奏のフェルマータのあとにホルンの主題がきれいに歌われてます。フーガにおける弦楽の厚みのある演奏が素晴しい。フーガのあとの低弦のフレーズも見事です。フィナーレまでの経過部の緊張感も素晴らしいです。木管も良い響きです。フィナーレは冒頭から重厚な響きです。木管とホルンの主題もきれいな響きです。展開部もよい響きです。木管と金管も良い響きです。ここは緊張感があります。第3楽章の回帰は木管とオーボエが良い響きです。再現部は重厚な演奏、そしてティンパニの響きも見事です。コーダのホルンの主題とピッコロの明るい響きがきれいです。プレストからの迫力は見事です。最後のフェルマータは短めですが、ティンパニの一打で終わります。これは素晴らしい演奏です。 
(CD1は2001年発売の国内盤、CD2は1995年発売の国内盤全集、LPは輸入盤です)


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