2000年代の演奏

ゲルハルト・ボッセ/新日本フィルハーモニー交響楽団(2010)
CD(Altus ALT231)

1.シューベルト/劇付随音楽「ロザムンデ」序曲
2.モーツァルト/交響曲第39番変ホ長調K543
3.ベートーヴェン/交響曲第5番ハ短調Op67「運命」
       (第1楽章&第4楽章リピート:原典版)

  ゲルハルト・ボッセ指揮
   新日本フィルハーモニー交響楽団
   録音 2011年5月13&14日ライヴ(1&2)
       2010年4月2&3日ライヴ(3)
    すみだトリフォニーホール

 ゲルハルト・ボッセはドイツのヴァイオリニストで指揮者です。1955年から1987年までゲヴァントハウスのコンサートマスターをつとめました。退任後から指揮活動をしていました。日本人の妻を持ち、日本に居を構えていましたが、2012年2月に90歳で亡くなっています。このアルバムは最晩年の演奏になります。
 シューベルトの「ロザムンデ」序曲は弦楽と管楽器のユニゾーンで始まる独特の響きが印象的です。演奏は申し分ないものです。大変新鮮に聞こえてきます。コンヴィチュニー時代からコンマスだったボッセにとっては馴染みの曲でしょう。
 モーツァルトの交響曲第39番は変ホ長調という重厚な響きの曲です。モーツァルトの交響曲の中でも演奏頻度の多い作品です。第1楽章の序奏が大変よくできています。演奏も素晴らしいものです。提示部はヴァイオリンとホルンで始まるなんとも優雅な響きです。そして弦楽の美しい響きがあります。第2楽章、第3楽章とモーツァルトの響きをボッセによって引き出されています。第3楽章のトリオは実に美しい。クラリネットとホルンの使い方がモーツァルトはうまいです。フィナーレも同様です。
 ベートーヴェンの交響曲第5番「運命」は速いテンポで始まる第1楽章はレガート奏法によります。フェルマータは長めです。ホルンのファンファーレは良い響きです。第2主題の流れはきれいです。展開部では淀みない流麗な演奏です。オーボエのカデンツァが大変綺麗です。再現部のファンファーレはファゴットが吹いています。コーダへの経過部の響きは厚みがあります。ホルンの和音が素晴らしい。コーダのフェルマータは長めです。終結も良い響きです。第2楽章は程よいテンポで歌う主題がきれいです。第1変奏の弦楽とクラリネットの演奏がきれいです。また木管も大変きれいで金管とのバランスもよく良い響きを作っています。木管四重奏はバランスの良いきれいな演奏です。第3楽章はホルンの主題が大変きれいです。フーガは弦楽の鮮やかな演奏が素晴らしい。フィナーレは冒頭から重厚な響きが素晴らしく、ホルンと木管の主題も厚みがあります。提示部のリピートがあります。展開部で木管楽器が大変きれいに響きます。特にフルートは目立ちます。経過部の厚い響きもまた素晴らしい。第3楽章の回想も大変きれいです。再現部は素晴らしい盛り上がりをみせます。コーダの和音の連続、ホルンの主題もきれいです。ピッコロは良い響きを出しています。プレストから終結までの圧倒的な演奏は見事です。最後のフェルマータの前に一瞬の間を置いています。感動的な演奏でした。


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