2000年代の演奏

デイヴッド・グリマル/レ・ディソナンス(2010)
CD&DVD(Aparte APO023)

1.ベートーヴェン/交響曲第5番ハ短調Op67「運命」
  (第1楽章、第3楽章、第4楽章リピート:
         ベーレンライター版)
2.   〃   /「プロメテウスの創造物」序曲Op43

  デイヴッド・グリマル(ヴァイオリン&指揮)
   レ・ディソナンス
   録音 2010年10月9日ライヴ
  ディジョン歌劇場オーディトリウム

 フランスのヴァイオリニスト、デイヴッド・グリマルが率いるレ・ディソナンスによるベートーヴェンです。このモダン楽器による室内楽団によるベートーヴェンは第7番とヴァイオリン協奏曲に次ぐ録音です。映像でも見ることができますが、コンサートマスターのグリマルは運命の第2楽章では開始の指示を出しておらず、チェロの首席の合図で演奏が始まっています。指揮者のいない楽団をまとめるのは難しいと思われますが、若手演奏家による意欲的な演奏には脱帽です。
 交響曲第5番「運命」はノンビブラートの古楽器奏法による速いテンポで始まる第1楽章はフェルマータが短いです。ホルンのファンファーレは良い響きです。勢いのある提示部は緊張感があります。展開部では強弱のメリハリをつけたピリピリ緊張感のあるもので、久々に聞く濃い演奏です。再現部のファンファーレはファゴットで吹いています。コーダへの経過部の響きは厚みがあります。コーダまで一糸乱れぬ演奏は素晴らしいものです。 第2楽章は程よいテンポで歌う主題がきれいです。また木管も大変きれいで金管とのバランスもよく良い響きを作っています。
 第3楽章はホルンの主題が大変きれいです。フーガは速いテンポで鮮やかな演奏が素晴らしい。この楽章はリピートがあります。ベーレンライター版のようです。フィナーレは厚みのある響きの冒頭が素晴らしく、大オーケストラに引けをとらない見事な演奏です。提示部のリピートがあります。展開部で木管楽器がきれいに響きます。経過部の厚い響きもまた素晴らしい。第3楽章の回想もきれいです。再現部は素晴らしい盛り上がりをみせます。粒ぞろいのソリストが揃っています。コーダの和音、ホルンの主題もきれいです。プレストから終結までの圧倒的な演奏は見事です。なお、最後のフェルマータは短いです。
 「プロメテウスの創造物」序曲は重厚な序奏が室内楽団とは思えない音量です。そして速いテンポの主部がききものです。


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