2000年代の演奏

フランソワ=グザヴィエ・ロト/レ・シエクル(2017)
CD(Harmonia Mundi HMM902423)

.ベートーヴェン/交響曲第5番ハ短調Op67「運命」
      6:48/8:55/5:12/10:29
   (第1、第4楽章リピート:ベーレンライター版)
2.ゴセック/17声の交響曲ヘ長調 RH64

 フランソワ=グザヴィエ・ロト指揮
  レ・シエクル
  録音 2017年3月(1)
      2020年2月(2)

 フランソワ=グザヴィエ・ロトの指揮による演奏です。レ・シエクルは19世紀同様のオリジナル楽器による演奏です。
 交響曲第5番「運命」はピリオド奏法による冒頭の演奏はフェルマータが短いです。ホルンのファンファーレはきれいに響きます。速いテンポの演奏ですが、響きは安定しています。展開部冒頭のホルンもきれいです。オーボエのカデンツァはきれいです。再現部のバソン(ファゴット)のファンファーレはよい響きです。そしてオーケストラの厚い響き。コーダのズシャンズシャンはストコフスキーを思い出します。第2楽章はやや速めのテンポで歌います。全合奏は重厚な響きです。低弦の深い響きには驚きます。第1変奏は弦楽の良い響きが流れます。第2変奏はクラリネットとファゴットの合いの手が弱いですが、全合奏は素晴らしいです。木管四重奏は流麗な演奏です。全合奏も迫力あります。木管の第3変奏は音を短く切った演奏です。第4変奏のバソンがよい響きを出しています。コーダもよい響きです。第3楽章の序奏は軽いリタルダンド、ホルンの主題はよい響きです。フーガは弦楽器の勢いのある演奏で緊張感があります。後半の弱奏部分はよい演奏です。フィナーレの演奏は厚みのある響きの冒頭は見事です。弦楽には厚みがあります。提示部のリピートがあります。弦楽のレガートが目立つ演奏です。展開部は低弦とティンパニの響きが強いのが印象的です。第3楽章の回帰は木管がきれいです。再現部は厚い響きが見事です。コーダの和音はズシャンとやるのが面白いです。ホルンとピッコロの響きはきれいです。プレストから終結までの息をもつかせない演奏は見事で、最後はティンパニのクレシェンドがあります。
 ゴセック(1734-1829)の「17声の交響曲」は4つの楽章で構成されています。第1楽章はベートーヴェンの音楽を思わせる重厚な響きで、木管は軽快な主題を演奏しています。ティンパニの活躍が目立ちます。第2楽章のラルゲットは弦楽の美しい響きと快い主題が印象的です。第3楽章のメヌエットは管と弦が楽しそうに歌います。トリオではナチュラルホルンの音が聞こえます。第4楽章のアレグロ・モルトは第1楽章と同様にティンパニが入って厚い響きになります。勢いのある演奏で、この作品が生き生きとして聞こえます。ベートーベンと並ぶ名曲と言って良いでしょう。


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