第七交響曲

久石 譲/東京フィルハーモニー交響楽団(2011)
CD(Wonder City WRCT-2004)

1.藤澤 守/フィフス・ディメンション
2.ベートーヴェン/交響曲第5番ハ短調Op67「運命」
     (第1楽章リピート:原典版)
   7:25/9:30/4:49/8:35(30分19秒)
3.   〃    /交響曲第7番イ長調Op92

  久石 譲指揮
  東京フィルハーモニー交響楽団
  録音 2011年4月9日
     東京サントリーホール・ライヴ

 久石譲が指揮した東京フィルハーモニー交響楽団のコンサートライヴ録音です。
 藤澤守は久石譲の本名です。フィフス・ディメンション(5th Dimension)はベートーヴェンの交響曲第5番からそのリズムや主題をいただいて作曲したシンフォニックな作品です。その中に「運命」のフレーズも登場します。2曲目の「運命」の前奏曲にもなる作品です。
 ベートーヴェンの交響曲第5番ハ短調は東フィルとしては2007年の宇野功芳以来の録音です。第1楽章の冒頭は速めのテンポでフェルマータはたっぷり伸ばしています。サントリーホールの残響が豊かで整然とした演奏は厚みがあり、これぞベートーヴェンという響きが聴かれます。提示部リピートしてからの勢い、そしてホルンのファンファーレの豊かな響きはこれぞ「運命」です。展開部の緻密な演奏。管と弦の対話の妙、オーボエのカデンツァは朗々と美しい響きです。再現部のファンファーレはファゴットで演奏しています。実に素晴らしいリズムに乗った演奏です。これほどの音の渦は見事としかいいようがありません。終結の和音がズシンときます。第2楽章は程よいテンポで弦楽の主題が歌われます。管楽器が入ってから響く低弦の厚みも素晴らしい。第1変奏と木管の明るい響きはこれも素晴らしい。第2変奏前の運命のテーマがなんともいえない緊張感があります。木管四重奏の流麗な演奏と響きは見事。第3変奏からコーダへの流麗な演奏と実に素晴らしい。第3楽章は程よいテンポで颯爽とした演奏、ホルンのテーマもきれいです。弦楽に始まるフーガは緻密で勢いがあります。トリオから結尾までの緊張感そしてフィナーレへのクレッシェンドも素晴らしい。第4楽章は重厚な響きで提示部は進みます。リピートは無しに展開部に入ります。トロンボーンの豊かな響きに圧倒されます。第3楽章の回帰では木管が美しい響きを出しています。再現部はここも重厚な響き、この厚い響きの中で金管と木管の調和のとれた響きが大変印象的です。コーダ前のホルンの主題が素晴らしい。プレストからの盛りあがりは興奮します。ブラボーです。
 ベートーヴェンの交響曲第7番は冒頭の厚みのある響きが素晴らしい。序奏の弦楽の刻みと管楽器の響きがこの作品の聴きどころですが、申し分ありません。提示部のフルートから全合奏の見事な演奏、これがリピートされています。展開部のホルンの強奏、全合奏の厚い響き、これぞ第7番です。再現部のオーボエも美しい。コーダの低弦のフレーズの連続、ホルンの叫びと見事です。第2楽章のアレグレットは弦楽の主題と対旋律のみごとな調和が聴きどころ。うねるような弦楽が素晴らしい。管楽器の強奏も見事な響き。コーダの演奏もまた素晴らしい。第3楽章はスケルツォ、軽快なテンポで勢いがあります。トリオの迫力第2ホルンの頑張り、このスケルツォも素晴らしい。第4楽章は冒頭から緊張感のある演奏、ホルンの豊かな響きはこのフィナーレの聴きどころ、展開部では低弦の厚みのある響きが素晴らしい。再現部の厚い響き、整然とした演奏コーダの圧倒的な演奏には感動でした。


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