第七交響曲

ヘルベルト・ブロムシュテット/ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団(2015)
CD(Acentus Music ACC80322) 全集

ベートーヴェン/交響曲全集
CD3
1.交響曲第5番ハ短調Op67「運命」
  (第1楽章、第4楽章リピート:原典版)
2.交響曲第6番ヘ長調Op68「田園」
CD4
3.交響曲第7番イ長調Op92
4.交響曲第8番ヘ長調Op93

 ヘルベルト・ブロムシュテット指揮
  ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団
  録音 2017年1月(1)
      2016年5月(2)
      2015年5月(3)
      2014年5月(4)

 ブロムシュテットがライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団を指揮したベートーヴェン交響曲全集の中の2枚です。これがブロムシュテット2つ目のベートーヴェン交響曲全集でした。
 交響曲第5番「運命」は第1楽章冒頭は重厚な響きで、フェルマータはしっかり伸ばしています。ホルンのファンファーレは明るい響きがきれいです。展開部は弦楽と管楽器のバランスのよい見事な演奏です。強弱をはっきりとさせたもので、ティンパニも良い響き、オーボエのカデンツァもきれいです。再現部のファンファーレはファゴットによる演奏です。コーダまでの力強い演奏は素晴らしいものです。フェルマータはたっぷり伸ばしています。終結も見事な演奏です。第2楽章は程よいテンポで主題を丁寧に歌っています。弦楽の美しさがあります。木管も良い響きです。第1変奏の美しい響き、全合奏の厚い響きと低弦の力強さ、第2変奏においても同様で、ファゴットとクラリネットの良い響きが聴かれます。木管四重奏の美しい響き、そしてクライマックスも聴きものです。木管の第3変奏もきれいな響きです。第4変奏のファゴットのきれいな響き、そしてコーダから終結は感動的な演奏です。第3楽章は序奏に続くホルンの力強い響きが素晴らしい。この楽章の厚い響き、フーガの力強い弦楽の演奏、低弦の力強さがあります。コーダまでの緊張感、木管の美しい響き、これが素晴らしい。フィナーレは冒頭の重厚な響き、ホルンと木管の良い響き、厚い響きは聴きものです。提示部のリピートがあります。展開部の響きの良さ、フルートのきれいな響き、トロンボーンの良い響き、第3楽章の回帰のクラリネットとオーボエの美しい響き、再現部の緻密な演奏と感動的な演奏が続きます。コーダの和音とホルンの主題、ピッコロの良い響きと素晴らしい演奏が聴きものです。プレストから終結までの圧倒的な演奏、最後のフェルマータもたっぷり伸ばして感動的です。

 交響曲第6番「田園」は第1楽章の冒頭から美しい響きです。そして一気に盛り上げていきます。オーボエが良い響きです。全合奏は良い響きです。ホルンもきれいに響きます。提示部のリピートがあります。展開部はフレーズの繰り返しがあります。弦楽と管楽器の美しい響きが聴かれます。再現部は弦楽と管楽器のバランスのよい演奏です。コーダのクラリネットが大変きれいに響きます。最後はたっぷり伸ばしています。第2楽章の「小川のほとりの情景」は小川の流れを感じさせる弦楽の動きがきれいに響きます。管楽器の響きもきれいです。ファゴットに始まる第2主題が小川の流れの良さを感じさせます。続く弦楽も素晴らしい響きです。展開部のフルート、オーボエの歌は鳥の鳴き声のように聞こえます。再現部の木管の響きは絶品です。コーダのフルート、オーボエ、クラリネットが歌う小鳥の鳴き声は素晴らしい演奏です。終結も良い響きです。第3楽章の「田舎の人々の楽しい集い」は快適な演奏です。オーボエ、クラリネット、ホルンと続くソロは素晴らしい響きです。ホルンがきれいです。トリオの迫力ある演奏はまるで踊っているかのようです。第4楽章の「嵐と雷雨」は嵐の前の静けさから一気に嵐の大雨になる様子、ティンパニの雷鳴と生々しい響きがあります。ティンパニの響きは豪快で凄い音です。また大雨がきて、雲が流れていく様子も感じられます。コーダの遠雷の表現は見事です。オーボエもきれいに響きます。第5楽章の「嵐のあとの感謝の気持ち」はクラリネットに続くホルンの美しい響きでよく表れています。そして「牧人の歌」は喜びにあふれています。ホルンの角笛、主題の変奏もよい響きになって素晴らしい「田園」です。コーダの素晴らしい演奏、最後はミュート・ホルンのソロがきれいに響きます。強弱をはっきりとさせた名演です。

 交響曲第7番は第1楽章の冒頭ズシーンとくる和音がきれいです。やや遅めのテンポでオーボエのソロもまたきれいです。ホルンもゆったりと聞かれます。序奏はこの曲の重要な部分です。フルートとオーボエのソロがきれいな演奏をしています。提示部のフルートのソロから全合奏におけるホルンの響きが大変素晴らしい。これぞ第七です。また弦楽セクションのうまさは抜群で、ティンパニも良い響きで、あらためてこの第七の魅力を感じます。提示部のリピートがあります。改めて提示部の凄い演奏が聴けます。展開部においてはこの作品の特徴、同じフレーズの繰り返しに圧倒されそうです。再現部の素晴らしい響き、ホルンの響きに続くコーダでは低弦のフレーズの連続が凄いです。終結のホルンの響きが素晴らしい。第2楽章:アレグレットは引きずるような弦楽の足取りと続く対旋律の美しさが聴きどころです。管楽器が加わる全合奏は感動的です。中間部の管楽器の演奏は素晴らしいもので、ホルンがきれいです。終結も感動的です。第3楽章:スケルツォは勢いのある演奏です。ここはプレストのリズムとトリオが交互にきますが、このトリオのメロディが単純で、そこに対旋律が入ることで凄い音楽になっています。ホルンの活躍があります。盛り上がりが抜群です。ベートーヴェンという作曲家が音楽の「構築」にこだわった典型的な作品と言えるでしょう。ブロムシュテットの指揮も素晴らしいです。フィナーレは速めのテンポで進みます。ホルンのハイトーンは迫力があります。ティンパニも重厚な響きです。この楽章は演奏はきつそうですが、このオーケストラは抜群の演奏を聞かせてくれます。展開部も迫力の演奏、再現部からコーダまでの素晴らしい演奏、ホルンが素晴らしい響きです。終結も感動的です。これは大変な名演です。

 交響曲第8番は第1楽章の弦楽の華やかさが聴きものです。深みのある響き、木管のユニゾーンもきれいです。提示部のリピートがまたきれいな演奏です。展開部のファゴットが大変良い響きです。再現部の厚い響きも素晴らしいです。コーダのティンパニの響きは見事なものです。第2楽章のスケルツァンドはメトロノームのようなリズムを刻むのが特徴です。快適なテンポで演奏しています。中間部の木管の響きはきれいです。メリハリのある弦楽の緻密な演奏はここも素晴らしいものです。第3楽章のメヌエットは大変良い響きでファゴットの響きもきれいです。トリオのホルンの二重奏の美しい演奏とクラリネットの響きの美しさは素晴らしい響きです。このメヌエットは素晴らしい響きです。第4楽章はアレグロ・ヴィヴァーチェ、弦楽の刻みの素晴らしい響きと、勢いのある演奏が素晴らしい。オーケストラの鮮やかな演奏は、ここも絶品です。残響の良さとアンサンブルの良さは抜群です。このブロムシュテットの第8番は感動的で大変な名演奏です。


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