2000年代の演奏

レオニダス・カヴァコス、ヨーヨー・マ、アックス(2021)
CD(SONY 19439940142)

ピアノ・トリオによるベートーヴェンの交響曲
1.交響曲第2番ニ長調Op36
    (フェルディナンド・リース編曲)
2.交響曲第5番ハ短調 Op67「運命」
    7:23/10:06/5:16/11:25
  (第1楽章、第4楽章リピート:
        コリン・マシューズ編曲)

  レオニダス・カヴァコス(ヴァイオリン)
  ヨーヨー・マ(チェロ)
  エマニュエル・アックス(ピアノ)
  録音 2021年8月1〜4日
 タングルウッド、セイジ・オザワ・ホール

 ピアノ・トリオ版のベートーヴェンの交響曲は珍しい録音です。
 交響曲第2番はフェルディナンド・リースによる編曲です。第1楽章の繊細な演奏と迫力のある響き、第2楽章の素晴らしい演奏はピアノ・ソロ編曲よりもきれいな響きになります。第3楽章のスケルツォは華やかな響きになりました。オリジナル作品のように聞こえます。第4楽章のアレグロ・モルトは、ピアノの響きが素晴らしいものです。まさにオリジナルの作品のようです。オーケストラよりも楽しいように聞こえます。名演です。

 交響曲第5番「運命」はコリン・マシューズの編曲です。第1楽章は良いテンポで、聴きやすいベートーヴェンです。リスト編のピアノ版よりも弦楽が入ると響きの広がりが違います。展開部のオーボエカデンツァはヴァイオリンが演奏します。再現部の迫力も素晴らしいものです。第2楽章はチェロから始まりますのでオリジナルと同じです。クライマックスもピアノ・トリオならでは素晴らしい響きがあります。変奏曲はチェロとヴァイオリンのきれいな響きが素晴らしいものです。木管四重奏の部分はピアノソロです。クライマックスはトリオの厚い響きが素晴らしいです。第3楽章の序奏は弦楽に始まり、ホルンの部分はピアノが力強い演奏です。これは素晴らしい演奏です。フーガの部分の迫力はこれも素晴らしいです。フィナーレまでの経過部分のきれいな響きは見事なものです。フィナーレの冒頭はピアノ・トリオの素晴らしい響きが生き生きとしています。何ともいえない素晴らしさがあります。提示部のリピートがあります。展開部の華やかな響き、第3楽章の回帰のきれいなこと、再現部の厚い響きと、聴けば聴くほど楽しくなります。コーダ前のホルンの主題はピアノで流麗な響き、ピッコロもピアノのきらめきと、実に素晴らしい編曲です。コーダの迫力はオリジナル同様です。これは素晴らしい名演奏です。絶賛したいと思います。


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