2000年代の演奏

テッサ・アイス&ベン・スクーマン(ピアノ)(2020)

CD(SOMM Recordings SOMMCD-0650)

ピアノ・デュオによる交響曲とピアノ作品
1.ベートーヴェン/交響曲第5番ハ短調Op67「運命」
   (シャルヴェンカによる2台のピアノ編)
2.シューマン/アンダンテと変奏Op46(2台ピアノ版)
3.サン=サーンス/ベートーヴェンの主題による
          変奏曲Op35(2台ピアノ版)

 テッサ・アイス(ピアノ)
 ベン・スクーマン(ピアノ)
 録音 2020年8月25日(1)
     2021年2月26日(2&3)
    メニューイン・ホール

 テッサ・アイスとベン・スクーマンの2台のピアノによるベートーヴェンやシューマンなどの作品の演奏です。
 ベートーヴェンの交響曲第5番ハ短調「運命」はシャルヴェンカの編曲による4手ピアノ版です。第1楽章は力強いテーマで始まり、つづく主題がハ短調であることが実によくわかる響きです。この提示部はピアノで弾くのがかなりきついようですが見事な指さばきを披露しています。展開部のピアノもよい響きです。再現部でも第2主題がきれいに響きます。一人のリスト編曲よりも迫力があります。コーダも見事な演奏です。
 第2楽章はきれいに始まります。この美しいメロディーを見事に演奏しています。第1変奏、第2変奏とピアノによるきれいな演奏です。ソロよりも迫力があります。第3変奏からコーダまで素晴らしい演奏です。
 第3楽章は程よいテンポで、きれいな響きを聴かせてくれます。フーガの部分は2台のピアノですから見事な演奏です。フーガだからこそピアノの本領を発揮できるのでしょう。フィナーレまでの経過部は緊張感もあります。
 フィナーレは大きな音楽を作っています。提示部を聴いていくと内声部の音がよく聞こえます。ピアノで聴くのも新鮮でいいものです。提示部のリピートもまた見事な演奏です。展開部はピアノ版だからこその絶妙な響きが聴かれます。素晴らしい演奏です。3楽章の回想はオーボエよりもピアノのメロディーの美しさがあります。再現部は迫力のある演奏です。コーダはホルンの主題、ピッコロの響きとピアノでの演奏も素晴らしいものです。終結も素晴らしい演奏です。
 シューマンのアンダンテと変奏は2台のピアノ版です。テッサ・アイスとベン・スクーマンのピアノは見事な演奏です。アンダンテのきれいな演奏、変奏の見事な演奏は聴きものです。
 サン=サーンスのベートーヴェンの主題による変奏曲はベートーヴェンのピアノソナタ第18番の第3楽章を主題に使用したものです。鮮やかな演奏です。後半のきれいな響きが素晴らしい演奏です。


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