1940年代の演奏

ウィレム・メンゲルベルク/アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団(1940)

CD(PHILIPS 462 526-2) 6:20/9:44/5:21/8:28
LP(PHILIPS FCM-2) 6:19/9:43/5:21/8:28

 ベートーヴェン/交響曲第5番ハ短調Op67「運命」
   (リピート無し:メンゲルベルク版)

 ウィレム・メンゲルベルク指揮
  アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団(
   録音 1940年4月18日 ライヴ

 この演奏はところどころにメンゲルベルクが手を加えた箇所があります。第1楽章をリピートしていないのもスタジオ盤とは異なります。なおCDは全集です。LPはフォンタナレーベルの1000円盤です。全集も持っていますが倉庫の奥で眠っています。
 交響曲第5番第1楽章の冒頭は1937年とほぼ同じ様な響きでした。弦のボウイングもティンパニが重々しく響くのも同じです。ホルンのファンファーレの強調も同じですが、違うのが110小節と114小節の木管のフレーズにホルンを重ねて強調したところです。37年もやってるようですがこれほど強くはありません。展開部でも変わりませんが再現部のファゴットのファンファーレはホルンで転用、そして問題が440小節から452小節までの木管のフレーズにホルンを重ねて強調するところです。これも37年と同じです。演奏効果を考えてのことですが、メンゲルベルクの独壇場です。
 第2楽章は主題のテンポを微妙に動かしながら歌う彼独特のものです。田園の第2楽章の主題を思い出します。第2変奏の低弦のがんばりは凄いです。またここでもティンパニの強打は目立ちます。185小節からのクライマックスは見事でした。最後の245小節の木管の上昇音にホルンをまたしても重ねて強調しています。
 第3楽章は弦の主題にたっぷりとリタルダンドをかけています。ホルンの主題のあとの90小節から93小節にかけてオーボエとヴィオラのフレーズにホルンを重ねているのも同じでした。トリオのフーガは素晴らしく凄まじいまでの盛り上がりをみせます。ティンパニの強打がにくいです。後半のポコ・リタルダンドもポコどころではなく完全なリタルダンドでした。
 フィナーレは大変重厚な響きです。そしてここでもテンポを動かして微妙に遅くしていました。ティンパニの強打もありこの演奏のポイントにもなっています。第3楽章の回想はあまり暗いイメージではありません。再現部は劇的なものになっています。コーダはやはり凄いです。ピッコロの強調、ホルンの明るさ、プレストも圧倒的です。和音の素晴らしさといい、聴衆が興奮するのも当然でしょう。


トップへ
戻る
前へ
次へ