1930年代の演奏

フェリックス・ワインガルトナー/ブリティッシュ交響楽団(1932)

CD1(EMI新星堂SGR-8522)
 ベートーヴェン/交響曲第5番ハ短調Op67「運命」
    6:32/8:36/5:14/8:45
   (リピート無し:ワインガルトナー版)
CD2(NAXOS 8.110861)
 ベートーヴェン/交響曲第5番ハ短調Op67「運命」
      6:33/8:34/5:15/8:43
    (リピート無し:ワインガルトナー版)

 フェリックス・ワインガルトナー指揮
   ブリティッシュ交響楽団 
 録音 1932年3月17&18日

  ワインガルトナーの3度目の録音でした。アメリカでの録音のようです。SPはアメリカでしか発売されなかったということです。CD1よりもCD2のNAXOS盤の方が音に深みがあり低音もよく聞こえてこちらがお勧めです。演奏も4つの録音の中では最も完成度が高いでしょう。     
 交響曲第5番の第1楽章冒頭はここもフェルマータをたっぷりと伸ばしています。テンポは速くもない普通でしょうか。ホルンのファンファーレは力強いです。展開部は勢いのある見事な演奏で、またオーボエカデンツァのあとにたっぷりと間をおいていました。コーダ最後の運命の動機はしっかり強調しています。
 第2楽章は面白く、第2主題になるとテンポアップしています。第1変奏、第2変奏とテンポを微妙に変えて(いわゆるアゴーギク)演奏効果をあげています。木管四重奏、木管の第3変奏もきれいです。見事な第2楽章で、聴き応えがあります。
 第3楽章冒頭のリタルダンドはたっぷりとかけました。ホルンは良い響きです。トリオのフーガはなめらかな演奏でアンサンブルは抜群でした。
 フィナーレは堂々とした響きの冒頭が見事です。バランスもいいですね。弦の第2主題も元気がいいです。展開部は緻密な演奏で申し分ありません。第3楽章の回想も良い雰囲気ですし、再現部もいいのですが、コーダのプレストではやはり弦が強い録音になっていて管が弱いのが惜しいです。

 この録音はLPでは聞かれなかっただけにCD化はうれしい事でした。NAXOS盤がお勧めです。だまされたと思って買っても損はないでしょう。


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