1940年代の演奏

ウィルヘルム・フルトヴェングラー/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(1947-1)




CD1(キング KICC 2293)7:53/10:30/5:40/7:46
CD2(M&A CD-942) 7:59/10:25/5:45/7:53
CD3(TAHRA FURT1016) 7:51/10:27/5:40/7:45
CD4(GRAND SLAM GS-2245/46) 
        8:02/10:30/5:47/7:55
LP(CETRA K19C266/7) 7:50/10:27/13:21

ベートーヴェン/交響曲第5番ハ短調Op67「運命」
  (第1楽章リピート:ワインガルトナー版)

 ウィルヘルム・フルトヴェングラー指揮
  ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
  録音 1947年5月25日
  ベルリン・ティタニア・パラスト・ライヴ

 この演奏はフルトヴェングラーがナチスの協力者として戦犯扱いとなり活動が禁止されてから、初めて公開演奏した記念すべき演奏でした。エグモント、田園、運命のプログラムで5月25,26,27、29日の4回演奏されています。この25日の演奏会は1983年になって運命と田園がイタリアCETRAから発売されすぐに日本盤もLP2枚組で発売されました。音はともかく新しい演奏としてすぐ買いました。
 演奏は久々に指揮台に立つフルトヴェングラーと緊張したベルリン・フィルの作り出す鬼気せまるものとなりなした。音はこの中ではCD2のM&A盤が比較的きれいでした。CD3のTAHRA盤もおすすめです。CD4は2トラ38テープからのCD化でかなり良くなっています。
 交響曲第5番の第1楽章は戦前の演奏とは異なり重々しい出方になりました。動機の3回目でホルンが少し早く出てしまいましたが、それだけ緊張していたわけでその雰囲気がよく伝わってきます。ティンパニの音もずしっと響きます。展開部も見事でした。オーボエのカデンツァのあとは再現部で、ファゴットのファンファーレの部分はホルンで演奏しています。コーダまでもティンパニの強打があります。間の取り方が素晴らしいです。
 第2楽章は弦楽の主題が見事、管楽器もいうことありません。第1変奏の弱奏からの盛りあがりは見事です。第2変奏の美しい響き、クライマックスはさすがに聴き応えがありました。また木管四重奏につづくホルンの強奏にはびっくりでした。木管の第3変奏はきれいな演奏です。コーダは重厚な響きでしかも最後は長く伸ばしています。
 第3楽章は冒頭の緊張感に満ちた弦の主題とホルンの強奏が素晴らしいです。トリオのフーガは若干の乱れはあるものの、凄い演奏でした。第4楽章への経過部のppの緊張感は素晴らしいものです。クレッシェンドと共に入る第4楽章は堂々とした重厚な演奏になります。提示部のホルンもよい響きです。展開部から再現部も緊張感のある演奏です。コーダのホルンの主題から終結までのスピードと緊張感は凄いです。フルトヴェングラーのライヴの凄さがあります。最後はテンポを落して圧倒的な終わり方でしたので、聴衆の騒ぎは凄いものでした。CD1とLPには拍手と聴衆のざわめきが入っています。


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