2000年代の演奏

ヤープ・ファン・ズヴェーデン/ハーグ・レジデンティ管弦楽団(2002)
SACD(PHILIPS 476 031-2)

1.ベートーヴェン/交響曲第5番ハ短調Op67「運命」
        (第1楽章、第4楽章リピート:原典版)
2.   〃    /交響曲第7番イ長調Op92

  ヤープ・ファン・ズヴェーデン指揮
   ハーグ・レジデンティ管弦楽団
   録音2002年6月(1)
      2003年11月(2)

 オランダの指揮者ズヴェーデンの「運命」と第7番です。ズヴェーデンは交響曲全集を録音していました。
 交響曲第5番「運命」は速いテンポですすむ演奏です。古楽器奏法で始まる冒頭はあっさりした響きです。フェルマータは短めです。提示部のフレーズをひとつひとつ強調する面白い表現もみられます。展開部では調和のとれた響き、再現部のファンファーレはファゴットで吹いています。コーダへの経過部の厚みのある響きが見事です。第2楽章は速いテンポで主題を歌います。第1変奏のテンポが速くなって驚きます。経過部ではテンポを戻します。木管がきれいに響いています。木管四重奏は大変よく響きます。第3変奏はテンポが速いと流れが自然できれいに聞こえてきます。
 第3楽章はテンポが速いだけに大きなリタルダンドが効果的です。ホルンの主題が明るく響きます。フーガは素晴らしい演奏を聴かせます。フィナーレは速めのテンポで重厚な響きが素晴らしい。提示部のリピートがあります。展開部も良い響きです。第3楽章の回想のオーボエがきれいです。再現部はコーダの和音の連続、ホルンの主題、ピッコロも良く響きます。プレストからが凄いです。まさにプレストという速さでも382小節から385小節のヴァイオリンとヴィオラのりズムの刻みもはっきり聞こえています。そして金管の強奏は圧倒的でたっぷりとした長さのフェルマータです。
 交響曲第7番は冒頭から良い響きを出しています。提示部は程よいテンポで演奏しています。主題の全合奏ではホルンの高音が素晴らしい。提示のリピートで再度聞かれるのが嬉しいです。終結部のホルンの強奏が凄いです。第2楽章は弦楽の響きがきれいです。対旋律の交錯が素晴らしい。聞けば聞くほど引き込まれます。第3楽章のスピード感ある演奏も素晴らしい。フィナーレはこの曲の白眉ですが勢いのある演奏は舞踏のリズムそのものです。それにしてもこのオーケストラのホルンセクションのパワーは素晴らしい。


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