1940年代の演奏

ヘルベルト・フォン・カラヤン/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(1948)

CD(EMI 7243 5663912)
 ベートーヴェン/交響曲第5番ハ短調Op67「運命」
   7:21/10:42/4:59/8:44
   (第1楽章リピート:ワインガルトナー版)
LP(東芝EMI EAC-30102)
 ベートーヴェン/交響曲第5番ハ短調Op67「運命」
    7:29/10:55/14:09
    (第1楽章リピート:ワインガルトナー版)

  ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮
    ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
    録音 1948年11月15,16,17日
     ウィーン・ムジーク・フェラインザール

 この録音は戦後のカラヤンが活動の停止中にEMIのウォルター・レッグが非公開の演奏ならば大丈夫としてカラヤンに指揮をさせた曰く付きの一連の録音の中の1枚です。

 さてこの演奏はカラヤンの6回のスタジオ録音中でも出色の出来映えのものです。交響曲第5番第1楽章冒頭から気迫に満ちた演奏です。提示部のホルンの動機は抜群の響きで後のフィルハーモニア盤と双璧でしょう。展開部のホルンと木管のかけあいの切なさは抜群です。あの速いテンポの中にあの表情を出せるのはさすがにウィーン・フィルです。ウィンナオーボエの美しさ、弦楽器のうねりも見事です。
第2楽章、第3楽章もいうことありません。特に第3楽章のトリオでは弦楽器が凄いです。音の波が押し寄せてくるかのようでした。
 第4楽章も素晴らしい演奏です。中でも再現部前の3楽章の回想ではウィンナオーボエの物悲しいメロディーがたまりません。このあとの再現部がよけいに明るく響きます。またコーダ前の微妙なテンポの変化とコーダに入ってからの勢いのある演奏、そして終結部で軽くテンポを落として演奏効果を上げるという、40才のカラヤンならではの演奏は今聞いてもまったく古さを感じません。これは超がつく名演奏です。


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