1950年代の演奏

ブルーノ・ワルター/コロンビア交響楽団(1958)



CD1(SONY SRCR-2309)
   6:21/10:46/5:47/9:28
CD2(SONY SICC-402)
   6:20/10:45/5:46/9:28
CD3(SONY 516237 2)
   6:20/10:45/5:46/9:28
CD4(CBS MK 42011)
   6:21/10:47/5:47/9:31

ベートーヴェン/交響曲第5番ハ短調Op67「運命」
   (リピート無し:ワルター版)

 ブルーノ・ワルター指揮
   コロンビア交響楽団
   録音1958年1月27&30日

 ワルターの運命といえばやはりこの録音が代表でしょう。ニューヨーク・フィル盤とはまた違う魅力にあふれています。 
 交響曲第5番第1楽章冒頭は長いフェルマータで8倍の長さです。そしてそのテーマの重厚な響きは素晴らしく、このような演奏は21世紀には望めそうもありません。ホルンのファンファーレも見事な響きです。低弦のリズムの刻みも鮮やか。第2主題はテンポの変化はなく一気に展開部に入ります。ニューヨーク盤でテンポを落とした231、232の2小節はインテンポで進んでいます。再現部のファゴットのファンファーレはファゴットだけで吹いているように聞こえます。423小節と425小節のヴァイオリンのsfのフレーズの強調は鮮やかで、その直前に一瞬の間を置くという離れ業は旧盤よりも感動的。439小節から454小節まで木管のフレーズにホルンを重ねて強調しています。コーダでも長いフェルマータとそのあとにたっぷり間をおいています。
 第2楽章はその主題の演奏が心躍るような歌い方でなんとも魅力的です。第1変奏がまたきれいです。木管の演奏もきれいそのもの。内声部がよく聞こえています。第2変奏の美しさもいうことありません。木管四重奏の美しさはモーツァルトを聞いているかのようです。第3変奏の木管は8分音符を短く吹いています。第4変奏のクライマックスは実に見事です。コーダの美しさは同じ曲とは思えない雰囲気が漂っています。
 第3楽章はここでも序奏で低弦のsfpを強調していますがワルターほど極端な演奏は他にあまり聞かれません。ホルンのテーマの強奏は鮮やかです。フーガはアウフタクトを強調してテンポの変化はなく実にきれいな演奏です。コーダの緊張感はたまりません。
 第4楽章は冒頭実に良い響きを出しています。管楽器の活躍が素晴らしい。ホルンのファンファーレも圧倒的です。展開部で管楽器がきれいです。トロンボーンが圧倒してくれます。第3楽章の回帰はオーボエが大変きれいです。再現部前のティンパニのクレッシェンドが素晴らしい。再現部の重厚な響きも聞き物。コーダはホルンの主題がきれいです。ピッコロの活躍も見逃せません。プレストからが凄いです。382小節から385小節のヴァイオリンとヴィオラのりズムの刻みをこれほど極端に鳴らしていたとは驚きです。ワルターの運命の素晴らしさがわかる超名演です。

 CD1は1999年発売のDSD盤、CD2は2004年発売のDSD盤、CD3は2004年発売で運命のリハーサル風景がカップリングされています。CD4は全集で第3楽章と第4楽章が1トラックになっています。


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