2000年代の演奏

ロリン・マゼール/トスカニーニ交響楽団(2008)
CD(TOBU TBRCD 0103/0107-2)5枚組

ベートーヴェン/交響曲全集
CD2
1.交響曲第2番ニ長調 Op36
2.交響曲第5番ハ短調 Op67「運命」
   (第1楽章リピート:原典版)
  7:04/10:44/4:50/8:25
CD3
3.交響曲第4番変ロ長調 Op60
4.交響曲第6番ヘ長調 Op68「田園」
CD4
5.交響曲第7番イ長調 Op92
6.交響曲第8番ヘ長調 Op93

 ロリン・マゼール指揮
  トスカニーニ交響楽団
  録音 2008年8月20日(1&2)
      2008年8月21日(3&4)
      2008年8月22日(5&6)
     タルミーナ、ギリシャ劇場ライヴ

 ロリン・マゼールがトスカニーニ交響楽団を指揮したベートーヴェンの交響曲全集です。野外劇場の演奏ですが、録音はマルチで行われ、管楽器の響きが明瞭です。全集からCD3枚の6曲です。

 交響曲第2番は第1楽章の序奏では気迫に満ちた演奏、主部のアレグロ・コン・ブリオは勢いのある演奏で、オーケストラの統率されたアンサンブルは見事なものです。弦楽の響きは素晴らしい響きです。第2楽章のラルゲットは弦と木管による歌があります。これは美しい演奏です。後半のホルンは良い響きです。第3楽章のスケルツォはベートーヴェンの作品の華やかさを感じさせてくれます。弦と木管とホルンのわくわくするような演奏です。第4楽章はアレグロ・モルトでぐいぐい進むオーケストラはこの第2交響曲の楽しさを教えてくれます。聴くほどにこの演奏には耳を奪われそうです。思わず拍手したくなる名演です。拍手喝采です。

 交響曲第5番「運命」の第1楽章は良いテンポでフェルマータは通常通りです。厚い響きは感動的です。ホルンのファンファーレはきれいです。提示部の第2主題はきれいに響きます。展開部では弦楽と木管の響きがきれいです。ホルンも良い響きです。オーボエのカデンツァもきれいです。再現部のファンファーレはファゴットです。オーケストラの重厚な演奏が素晴らしいです。コーダも素晴らしい演奏です。第2楽章のアンダンテ・コン・モトはやや速めの演奏で始まります。弦楽の主題の演奏はきれいです。全合奏は良い響きです。第1変奏と全合奏の響きの良さは見事です。第2変奏ではバックのファゴットとクラリネットの響きがきれいです。木管四重奏のやわらかな響きの美しいこと、全合奏に続く木管の第3変奏はきれいな演奏です。第4変奏のファゴットが柔らかい響きです。そしてクライマックスの全合奏が素晴らしい響きです。コーダはゆったりとした見事な演奏です。第3楽章は序奏のフェルマータのあとのホルンの主題が素晴らしい演奏です。フーガにおける弦楽の厚みのある演奏が素晴しい。フーガのあとの低弦のフレーズも素晴らしい響きです。フィナーレまでの経過部の緊張感も素晴らしいです。フィナーレは重厚な響きが冒頭で聞かれます。ホルンと木管の主題も厚みがあります。金管も良い響きです。勢いもあります。展開部では弦楽のうまさ、管楽器の響きが素晴らしい。トロンボーンは良い響きです。第3楽章の回帰はクラリネットとオーボエがきれいです。再現部は整然とした演奏、そしてティンパニの響きも素晴らしいです。コーダの和音、ファゴットとホルンの主題とピッコロの明るい響きが印象的です。プレストからの迫力は見事です。フェルマータはしっかり伸ばしています。素晴らしい演奏です。これは拍手大喝采です。

 交響曲第4番は第1楽章の序奏で管楽器が良い響きを出しています。そして提示部の主題は説得力のある歌い方をしています。良いテンポで素晴らしいアンサンブルです。ファゴットの明るい響きも、クラリネットなどの響きは明瞭に録音されていますので、これほど楽しくなる演奏はないでしょう。再現部の響きは最高です。第1楽章が終わると拍手が少し入ります。第2楽章のアダージョはやや速めのテンポですが、管楽器の響きが大変きれいです。後半も弦楽の響きの良さとホルンの明るい響きがきれいです。第3楽章のアレグロ・ヴィヴァーチェは弦楽と管楽器の対話のように演奏しています。これが面白いです。トリオも同じです。弦楽の美しい響きもあって素晴らしい演奏です。ホルンも良い響きです。第4楽章のアレグロ・マ・ノン・トロッポは良いのテンポの演奏です。弦楽とオーボエとフルートの鮮やかな演奏は見事です。後半からコーダの演奏が圧倒的に素晴らしいです。拍手喝采です。

 交響曲第6番「田園」は第1楽章の冒頭からよい響きです。木管と弦楽が厚い響きを出しています。提示部のリピートがあります。展開部はフレーズの繰り返しに緊張感を感じます。弦楽のきれいな響きが「田園」らしいです。再現部の木管はいいですが、ホルンが少し弱いのが惜しいです。コーダのクラリネットやフルートはきれいな演奏です。第2楽章の「小川のほとりの情景」は小川の流れを感じさせる弦楽の動きがきれいです。木管楽器の主題もきれいです。ファゴットの第2主題が弦楽に乗って小川の流れの良さを感じさせます。後半でオーボエとフルートの美しい音色が素晴らしいです。コーダのフルート、オーボエ、クラリネットの小鳥の鳴き声は表現力豊かで素晴らしい演奏です。第3楽章のアレグロは踊りたくなるような演奏です。オーボエ、クラリネット、ホルンと続くソロはきれいです。トリオの勢いのある演奏はマゼールらしいです。第4楽章の「嵐」は嵐の前の静けさから一気に嵐の大雨になる様子、雷鳴と圧倒的な響きがあります。また大雨がきて、雲が流れていく様子まで感じられます。コーダの遠雷の表現が素晴らしいです。オーボエとフルートの響きもきれいです。第5楽章の「嵐のあとの感謝の気持ち」はクラリネットとホルンで歌われます。そして「牧人の歌」は喜びにあふれています。弦楽の演奏が素晴らしいです。良い演奏です。コーダはテンポを落して重厚な演奏をしています。ホルンもよく響きます。これも拍手喝采です。

 交響曲第7番は第1楽章の序奏が良い響きです。重厚な響きが聴かれます。弦楽の勢いの良さには圧倒されそうです。ただ、ホルンが弱い録音なのが惜しいです。提示部は木管の美しい響きと全合奏の厚い響きが素晴らしいです。ここもホルンが弱いのが惜しいです。木管はきれいな響きです。展開部は管楽器の厚い響きが素晴らしいです。再現部は管楽器の響きの良さが素晴らしいです。コーダの低弦の響きの素晴らしいこと、そして終結のホルンの強奏と素晴らしい響きです。第2楽章のアレグレットは弦楽の良い響き、対旋律のきれいなことが素晴らしいです。中間部の管楽器の響きの良さ、管楽器による主題はきれいです。ここではホルンがきれいに聞こえます。後半もきれいな演奏です。第3楽章のプレストは強弱のはっきりした演奏で勢いがあります。トリオはやや速めで管楽器の主題が流れます。スケルツォの主題がオーボエで流れると大変きれいです。木管の響きはきれいです。第4楽章はアレグロ・コン・ブリオ、冒頭から厚い弦楽の響き、ホルンの良い響きと見事な演奏です。木管もきれいな演奏です。展開部の全合奏の迫力が素晴らしいです。再現部は良い響きです。ホルンも良い響きです。コーダは弦楽の素晴らしい響きとホルンの強奏が素晴らしいです。これも素晴らしい演奏です。拍手喝采です。

 交響曲第8番は第1楽章のアレグロ・ヴィヴァーチェ・エ・コン・ブリオがまとまりのある良い響きです。ここも弦楽の華やかさが聴きものです。木管の響きもきれいです。ティンパニも良い響きです。コーダは木管もきれいな演奏です。第2楽章のスケルツァンドはメトロノームのようなリズムを刻むのが特徴です。そこに入る弦楽の刻みが見事な演奏です。木管もきれいな演奏です。第3楽章のメヌエットは大変良い響きでファゴットの響きもきれいです。トリオのホルンの二重奏とクラリネットの響きの美しいこと、このメヌエットの聴きどころです。きれいな演奏です。第4楽章はアレグロ・ヴィヴァーチェは弦楽の刻みの素晴らしい響きと、勢いのある演奏が素晴らしい。迫力のある演奏です。これも名演です。拍手喝采です。


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