2000年代の演奏

リッカルド・シャイー/ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団(2009)

CD1(DECCA 478 3495)
CD2(DECCA 478 3492)全集

1.ベートーヴェン/序曲「コリオラン」Op62
2.    〃   /交響曲第5番ハ短調Op67「運命
       (第1楽章&第4楽章リピート:原典版)
3.    〃   /交響曲第6番ヘ長調Op68「田園」

  リッカルド・シャイー指揮
   ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団
   録音 2007年6月4〜9日(1)
       2009年9月10〜12日(2)
       2009年11月23〜29日(3)

 リッカルド・シャイーのベートーヴェンです。シャイーは2004年までつとめたコンセルトヘボウの常任指揮者を退官後の2005年からゲヴァントハウスの楽長に就任しています。ベートーヴェンの交響曲全集を完成しており、これはマズア以来の録音です。
 序曲「コリオラン」は速めのテンポで胸のすくような鮮やか演奏です。オーケストラの整然とした演奏は素晴らしく、かなり厳しいリハーサルが想像できます。とにかくこの演奏は緊張感に満ちて隙のない演奏です。
 交響曲第5番「運命」は速めのテンポの第1楽章は冒頭で古楽器奏法を取り入れたような演奏で、フェルマータも短いです。それにしてもここでも緻密な演奏をきかせています。ホルンのファンファーレはホール一杯に響き渡ります。展開部では弦楽と管の見事な交錯があります。オーボエのカデンツァはアダージョできれいな演奏です。再現部のファンファーレはファゴットで吹いています。コーダへの経過部の響きは厚みがあります。コーダは圧倒的で切れ目なく終結します。第2楽章はやや速めのテンポですが表情豊かに歌う主題がきれいです。また木管が大変きれいに響いています。第1変奏の上に木管が美しい響きを出してくれます。木管四重奏は流麗で大変よく響きます。
 第3楽章は序奏で絶妙なリタルダンドとホルンの主題がきれいですが、テンポは速いです。フーガは低弦の厚みと見事な演奏が素晴らしい。フィナーレは重厚な響きが冒頭で聞かれます。ホルンと木管の主題も厚みがあります。提示部のリピートがあります。展開部では弦楽のうまさ管楽器の響きが素晴らしい。第3楽章の回想もきれいです。オーボエが素晴らしい。再現部は素晴らしい盛り上がりをみせます。ピッコロも目立ちます。コーダの和音の連続、ホルンの主題がきれいです。ピッコロも良く響きます。プレストからの緊張感は凄まじく息をもつかせぬ圧倒的な演奏です。最後のフェルマータが凄い。ティンパニのクレッシェンドがあります。
 交響曲第6番「田園」は第1楽章のテンポが速いですが主題は表情豊かに演奏しています。木管の響きはやわらかで美しいです。提示部のリピートがあります。展開部から再現部もたんたんと進みますが流麗な演奏は変わりません。コーダのクラリネット、フルートへの流れもきれいです。第2楽章「小川のほとりの情景」はやや速めのテンポながら、クラリネットとファゴットの主題が大変きれいです。コーダの夜うぐいす、うずら、カッコーの演奏ではオーボエの音が鳥の鳴き声のようです。第3楽章は歯切れ良い演奏で、ホルンの和音がよく響きます。オーボエ、クラリネット、ホルンと続く主題の流れは見事です。第4楽章「嵐と雷雨」ではティンパニの強打、豪雨の表現が見事です。張りのあるティンパニの音はまさに雷です。遠雷から嵐のあとの感謝の気持ちを歌う「牧人の歌」への流れもきれいです。ホルンの導入フレーズは素晴らしい響きです。(CD2の全集はEU盤です)


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