2000年代の演奏

エンリケ・マッツォーラ/イル・ド・フランス国立管弦楽団(2017)
CD(NoMadMusic NMM055)

ベートーヴェン/作品集
1.ピアノ協奏曲第1番ハ長調Op15
2.交響曲第5番ハ短調op67「運命」
 (第1、第3、第4楽章リピート:原典版)
   6:43/8:23/8:00/10:34
3.フーガ ハ長調 WoO215 Hess 64

 セドリック・ティベルギアン(ピアノ)(1&3)
 エンリケ・マッツォーラ指揮
  イル・ド・フランス国立管弦楽団
  録音 2017年8月&9月

 エンリケ・マッツォーラ指揮イル・ド・フランス国立管弦楽団によるベートーヴェンの作品集です。
 ピアノ協奏曲第1番はセドリック・ティベルギアンのピアノによる演奏です。3つの楽章からなる大曲です。第1楽章「アレグロ・コン・ブリオ」はオーケストラの響きの良さとのベートーヴェンのピアノ作品の魅力があふれるようです。シンフォニックな響きが魅力です。カデンツァも見事な演奏です。第2楽章「ラルゴ」はピアノのソロが哀愁的な主題で始まります。きれいな演奏です。コーダのオーケストラはよい響きです。第3楽章「ロンド、アレグロ」は力強い主題がピアノに始まり、オーケストラも厚い響きでベートーヴェン初期の傑作を演奏しています。
 交響曲第5番「運命」の第1楽章冒頭はピリオド奏法による演奏でフェルマータはやや短めです。ホルンのファンファーレはきれいに響きます。提示部の演奏はよい響きです。展開部冒頭のホルンはきれいです。管と弦の対話もよい響きです。オーボエのカデンツァはきれいです。再現部のファゴットのファンファーレは大変よい響きです。そしてオーケストラの厚い響き、コーダまでの演奏、終結もよい響きです。第2楽章はやや速めのテンポで歌います。時にはワルツ風の歌い方には驚きます。全合奏は重厚な響きです。第1変奏は弦楽の良い響きが流れます。木管の響きもきれいです。経過部の演奏も素晴らしいです。第2変奏はクラリネットとファゴットの合いの手がきれいに響きます。全合奏も素晴らしいです。木管四重奏は大変きれいな演奏です。全合奏も迫力あります。木管の第3変奏は音を短く切った演奏ですが流麗な演奏です。第4変奏のファゴットがよい響きを出しています。コーダも圧倒的な素晴らしい響きです。第3楽章の序奏はリタルダンドのあとのホルンの主題はよい響きです。弦楽もきれいな演奏です。フーガは弦楽器の勢いのある演奏で緊張感があります。冒頭へのリピートがあります。後半の弱奏部分は弦楽のきれいな演奏です。フィナーレの演奏は厚みのある響きの冒頭は見事です。ホルンもよく響きます。提示部のリピートがあります。管と弦のバランスの良さ、ティンパニはよい響きです。展開部では木管やトロンボーンがよい響きを出しています。第3楽章の回帰は木管が大変きれいです。再現部は厚い響きが素晴らしいです。コーダの和音、ファゴット、ホルンと続く主題とピッコロの響きがきれいです。プレストから終結までの演奏は見事で、最後のフェルマータまで圧倒的な響きの演奏です。これは名演です。(なお、第3楽章のリピートがありますが、ギュルケ版かベーレンライター版かは不明です。)
 フーガ ハ長調はピアノ小品です。ティベルギアンのきれいなピアノが聴かれます。


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